事業をはじめるために許認可が必要な場合【免許・許可・認可・登録・届出の違い】

起業した際、事業開始前に許認可手続が必要な業種があります。

事業の許認可の正式な手続きが済んでいないと、事業が開始できなかったり刑事罰が課されたり金融機関から融資が受けられなかったりと、色々な面で不利益が生じてきます。

そもそもなぜ許認可が必要なのでしょうか?また許認可を受けることで法人・個人事業主はどんな便益があるのでしょうか?

今回の記事では、事業の許認可について、そもそも許認可とは何か、その種類や許認可が必要な業種、手続きの流れと取得のタイミングなどについて解説します。

読んで頂くと事業の許認可について事業者が必要な基本的な知識が得られると思います。

許認可とは?

許認可とは、法人及び個人事業主が事業を開始する際、その事業が事前に行政機関から許認可を受けることが必要な業種に該当したとき、必ず手続きをして営業許可を受けなければならない一連の流れをいいます。

また許可や届出が必要な業種を許認可業種と呼びます。

許認可は事業者が都道府県、保健所、警察署などの行政機関に申請して得ますが、もし必要な許可を受けずに事業を始めると、後で刑事罰や営業停止などのペナルティが課せられるので注意が必要です。

一般的に会社を設立して許認可を取る場合の手続きの流れは以下のようになります。

①会社設立手続
②設立登記
③許可届出手続(手続きの種類は業種による)
④事業開始

この手続きのミソは必ず会社の設立登記が終わってから許認可の手続きに入ることで、会社の設立登記前に許認可手続を開始したり終わらせたりすることはできません。

また申請しても行政機関も受け付けてくれません。

したがって起業で許認可手続を必要としない業種のスタートアップと比べると、許認可の手続きに余分な時間が掛かる分、許認可業種の会社は事業開始が若干遅れることになります。

許認可の種類と難易度について

同じ許認可業種と言っても許認可にはいくつか種類があり、またその取得の難易度も違っています。

この章では許認可の種類と取得の難しい順にその概要を解説します。

事業の許認可種類は複数あり、取得難易度順に並べると以下の通りです。

・免許
・許可
・認可
・登録
・届出

免許

免許とは、営業開始予定の業種ごと、個々の法律で定められた資格を有する者が、該当する行政機関に許可を申請することで、本来法令で禁止されている業務をできるようにした許認可の種類のことを言います。

以下で説明する「許可」と異なり、業務を行う者が申請前から業種の許認可に必要な資格を持っていることが申請の必須要件となっています。

不動産取引業、酒類販売業などがこの免許が必要な代表的業種です。

許可

許可とは、本来法令で禁止されている事業を、申請者が行政機関に必要書類を出し審査を受けて合格することで、初めて営業が可能となる許認可の種類を言います。

許可に係る業種は、必ず開業前に申請して審査を受けねばならないし、申請しても許可が下りるまでに時間が掛かる上に、内容によっては許可が下りず事業が始められない場合もあるので注意が必要です。

建設業、食品販売業などがこの許可が必要な代表的業種です。

認可

認可とは、許可のケースと異なり、事業者が事業内容について法令で定められた一定の要件を満たすことで事業を開始することを許される許認可の種類です。

事前に要件を満たしているかどうか、行政機関による事前審査があるため、下記の登録に比べて一定の時間が掛かるのが特徴です。

保育園、警備業などがこの認可が必要な代表的業種です。

登録

登録とは、開業前、登録に必要な書類を整え行政機関に届けを出して、機関の名簿に業者として名前が登録されることで営業許可が得られる許認可の種類を言います。

そのため、提出した書類が行政機関に受理され、名簿への登録完了後に業務が開始できるので、認可ほどは時間が掛かりません。

登録が必要な業種としては貸金業、旅行代理店などがあります。

届出

届出とは、単純に事業開始前に必要書類を整えて行政機関に届けることで営業することが認められる許認可の種類のことを言います。

届出を出した時点で許認可を得たことになり、行政機関から返答を待つ必要もないので、許認可の種類としては最も難易度が低い手続きです。

とにかく行政機関に書類が届いた時点から事業が開始できます。

ただし、届出が必要とされている業種は必ず手続きを行わねばならないので、いくら許認可の中では簡単とされる手続きでも、忘れて届けを出さないようなことは絶対しないようにして下さい。

届出が必要な業種としては、クリーニング店、理容院・美容院などがあります。

許認可を取得しないとどうなる?

許認可が必要な業種では、当然事業開始前に許認可を取得する必要がありますが、もそ許認可を取得しなかった場合、どのようなことが考えられるのでしょうか?

ここでは許認可を取得しなかった場合に、どのようなことが起きるのかについて説明していきます。

・許認可手続が済んでいないと事業が開始できない。また、無免許・無許可で営業活動を行った場合には、営業停止命令や刑事罰を受ける可能性がある。

・許認可が必要な業種なのに手続きが済んでいないと金融機関から融資が受けられない、また許認可なく融資が受けられても金額は低くなる。

・業種によっては許認可がなくても事業はできるが、取引先から受注できる額を制限されて大きな仕事ができない。

・許認可手続に手間と費用が掛かる。また許認可の種類によっては定期的に更新手続きが必要となり余分な事務作業が増える。

許認可が必要な事業一覧と各々の概要、窓口・申請先

許認可が必要な事業の例を以下に記載します。

これはあくまで全体の一部に過ぎず、許認可が必要な業種は他にもたくさんあります。

業種許認可等担当窓口申請先
宅地建物取引業(不動産屋)免許都道府県国土交通大臣または都道府県知事
酒類販売業免許税務署税務署長
有料職業紹介業許可都道府県労働局厚生労働大臣
労働者派遣業許可都道府県労働局厚生労働大臣
医薬品販売業(薬局)許可保健所都道府県知事
建設業許可都道府県国土交通大臣または都道府県知事
喫茶店許可保健所都道府県知事
公衆浴場業許可保健所都道府県知事
古物商(中古車、古書店等)許可警察署公安委員会
食品販売業許可保健所都道府県知事
食品製造業許可保健所都道府県知事
質屋許可警察署公安委員会
風俗営業(パチンコ、麻雀等)許可警察署公安委員会
旅館業許可保健所都道府県知事
旅行代理店登録運輸局国土交通大臣
貸金業登録財務局または都道府県財務局長または都道府県知事
理容院・美容院届出保健所都道府県知事
クリーニング店届出保健所都道府県知事

金融機関への融資申込み等で許認可が必要となる業種に関しては、以下の公式サイトも参考になります。

神奈川県信用保証協会 – 許可等一覧(PDF)
埼玉県信用保証協会 – 許認可証の確認が必要となる業種

許認可申請のタイミング

ここでもう一度、許認可を受けるまでの流れについて思い出して下さい。
「許認可とは?」で以下の手続きの流れを説明しましたよね。

①会社設立手続
②設立登記
③許可届出手続(手続きの種類は業種による)
④事業開始

このように、許認可の申請は、必ず「②設立登記」が終わってからでないと、行政機関から許認可が下りません。許認可が必要な事業を行うときは、取得したい許認可に適合した事業目的を定款に記載して認証を受けたうえで登記をしておきましょう。

また近い将来許認可事業を行う予定がある場合も、予め最初の会社設立時に事業項目として定款に追加して登記しておくと効率的です。ちなみに後から定款内容を変更する場合、定款の目的変更登記の登録免許税で3万円、依頼する司法書士の費用で2~3万円、総額で5~6万円ほどの費用必要が発生します。

一般的に会社設立手続きに要する期間は、設立準備から定款作成、金融機関への資本金払込、法務局での会社設立登記申請まで入れると早くて2~3週間掛かります。

さらにその後で許認可手続を進めるとなると、いかに早く手続きを進めても設立準備から事業開始まで1ヶ月近く、あるいはそれ以上かかります。特に事業を開始したい時期が差し迫っている場合は、手続き関連のスケジュールをできるだけ早く決めておきましょう。

許認可の手続きを事務代行してくれる士業

費用節約のため、許認可の手続きを経営者自らが手を動かして準備するのも良いですが、認許可の手続きを、専門知識や経験を持つ専門家に依頼することで、慣れない作業に時間をかけずに進めることもできます。

では経営者に代わって認許可の手続きを行ってくれのは具体的にどのような専門家なのでしょうか?

一般的にそれができるのは行政書士と呼ばれている専門家(士業)です。

士業には行政書士のほかに、司法書士、弁護士、税理士、公認会計士、弁理士など、色々ありますが、本人に代わり役所宛の許認可手続が代行できるのは行政書士だけと決められています。

行政書士は、国の行う行政書士試験に合格して、官公署に提出する書類を作成して役所に提出したり、顧客から依頼されて、権利義務に関する書類、事実証明に関する書類等を作成したり、また顧客からの相談に乗ったりすることを主な業務としています。

ただし、行政書士にもできる仕事とできない仕事があるので注意が必要です。具体的には以下の通りです。

【行政書士にできる仕事】
・役所宛の許認可手続…建設業許可申請、飲食業許可申請等
・自動車関係手続…自動車登録、車庫証明、名義変更手続等
・外国人関連手続…在留資格認定証明書交付申請、永住許可申請など

【行政書士にできない仕事(主に登記関係)】
・会社設立登記手続…ただし定款の作成は対応可能
・相続関係手続…ただし遺言書の作成は対応可能

このように、行政書士に頼めば定款の作成や許認可手続に係る部分は事務を代行してもらうことができますが、登記に係る部分の代行は司法書士等に依頼しなければなりません。

行政書士や司法書士は何らかの形で他の士業とタッグを組んで仕事をしていることが多いです。もし行政書士や司法書士に登記や許認可手続を依頼する予定があれば、一気通貫で手続きの代行を依頼できるか否かを事前に確認しておくと良いでしょう。

まとめ

事業の許認可について、許認可の意味、その種類や許認可が必要な業種、手続きの流れと申請タイミングなどについて解説してきました。

この記事では、あくまで事業者が事前に取得や届出が必要な許認可の概要を説明するに留めています。

各許認可ごとの具体的な各手続きに関しては、実際に申請する予定の行政機関等に問い合わせを行い、手続きを進めてください。