何となく3月はNG?会社の決算月を決めるための4つのポイント

起業するにあたっては様々な取り決めを行わなければなりません。その中の一つとして挙げられるのが「決算月の決定」です。

決算月は自由に決定することができますが、起業時に行うべき事項の多さから「多くの企業が3月にしているから、うちも3月で良いや」と、特に理由無く決算月を3月にしている企業も多いのではないでしょうか。

実際に国税庁が発表した「決算月別法人数」によると、およそ20%の企業が決算月を3月としています。

しかし決算月を何月に設定するかということは、企業が安定して経営を行う上で欠かせないポイントなのです。

そこで今回は決算月の決定が重要な理由と決める際に確認しておきたいポイントをご紹介。もし決算月を変更したいとなった場合に必要な手続きまで解説いたしますので、ぜひ最後までご覧ください。

それではまず決算月が経営において重要な理由をご紹介します。

結論から申し上げると、その理由とは「消費税の免税期間を長くできるから」ということです。

会社を設立した際の資本金額が1,000万未満である場合、企業は設立してから2年度の消費税の納税義務が免除されます。

ここで重要なのは免除期間が2年間ではなく2年度ということです。

仮に2月1日に設立した企業が決算月を3月にした場合、消費税の免税期間は以下となります。

<消費税免税期間(2月1日に設立し決算月を3月にした場合)>
第1期:設立した年の2月1日〜設立した年の3月31日(2ヶ月)
第2期:設立した年の4月1日〜設立した翌年の3月31日(12ヶ月)

この場合、消費税の免税期間は計14ヶ月となります。

一方で同企業が設立した2月から決算月を最も遠い翌年の2月に設定した場合、消費税の免税期間は以下となります。

<消費税免税期間(2月1日に設立し決算月を翌年2月にした場合)>
第1期:設立した年の2年1日〜設立した翌年の2月28日(12ヶ月)
第2期:設立した翌年の3月1日〜設立した翌々年の2月28日(12ヶ月)

この場合、消費税の免税期間は計24ヶ月となるのです。

このように決算月を何月に決めるかによって消費税の免税期間が異なり、スタートアップ企業にとっては大きな節税対策につながるのです。

決算月を決めるための4つのポイントをご紹介!

上記にて決算月の決定が、節税という観点から重要であるということをご紹介いたしました。

「じゃあ起業したら決算月は設立した月から最も遠い月にすればいいんだ!」と思われた経営者の方も多いと思いますが、実はそういうわけではありません。

そのほかにも決算月を決める際に重要なポイントが4つございますので、以下にてご紹介いたします。

大きな支出が発生する月を避ける

まず最初にご紹介するポイントは「大きな支出が発生する時期を避ける」です。

企業は決算月から2ヶ月後に法人税や事業税などを納税しなければなりません。

もしその月が大きな支出が発生する月と重なってしまうと、資金繰りに大きな支障をきたしてしまう可能性があるのです。

よって、納税月と大きな支出が発生する月は重ならないように決算月を決めるようにすると良いでしょう。大きな支出が発生する時期としては以下が例としてあげられます。

・夏季賞与や労働保険料の納付がある6月〜7月
・冬季賞与がある11〜12月
・その他仕入れや経費の支払いが多い月 など

繁忙期を避ける

次にご紹介するポイントは「繁忙期を避ける」です。繁忙期は企業にとって売上を最大にすることができる時期です。

そのため、社員一丸となって業務に取り組むことでしょう。

この時期に決算が重なってしまうと、決算業務に時間を取られて通常業務に集中することができなくなってしまうのです。

それによって、予想よりも業績が低下してまう可能性があります。

また繁忙期は売上が大きく変動する時期である分、他の時期よりも売上の予測が難しい時期です。

そのため、「想定したよりも売上が上がり納税額が増えてしまった」または「想定よりも売上が落ち込み、決算日を赤字で迎えてしまった」といった事態が起こってしまう可能性があるのです。

繁忙期に合わせる

次にご紹介するポイントは「繁忙期に合わせる」です。

先ほどご紹介したポイントと全く真逆ですが、決算月を繁忙期に合わせる企業も多くあります。

その理由としては「繁忙期の社員の士気を高める」ということが挙げられます。

「繁忙期に追い込みをかけて決算を良い結果で終わらせよう!」と社内の雰囲気を盛り上げ、売上の最大化を見込めることができるのです。

もし決算月と繁忙期に合わせるであれば決算が通常業務の負担とならないように、財務的なシステムを整え決算手続きに手間がかからないようにしなければなりません。

税理士の繁忙期を避ける

最後にご紹介するポイントは「税理士の繁忙期を避ける」です。

しっかりと決算を終えるためには税理士と話し合いを行う必要がありますが、税理士も繁忙期には1社との話し合いに多くの時間をかけることはできません。

そのため税理士の対応の精度が低くなったり、遅くなったりといったことが考えられるのです。

ちなみに冒頭で参照した「決算月別法人数」によると、決算月が3月の企業が約20%、9月の企業が約11%となっています。

もしこのポイントを重視するのであれば、これらの月を避けて決算月を決めるようにしてみてはいかがでしょうか。

決算月を変更する際に必要な手続きとは?

これまで決算月が重要な理由や決めるために重要なポイントをご紹介してまいりました。

これから起業することを考えられている方はぜひ参考にされてみてください。

しかし、すでに起業された方の中には「自社にとって不利益な時期に決算月を決めてしまった・・・」という方もいらっしゃるでしょう。

そのような方には決算月を変更されることをおすすめします。早速以下にて必要な手続きをご紹介しましょう。

株主総会を開催する

まず最初に必要な手続きは「株主総会を開催する」です。

決算月を変更したい際には臨時株主総会を開催し、株主の了承を得なければなりません。

なお、決算月の変更は「特別決議を要する事項」にあたります。

この事項においては出席した株主の3分の2以上の賛成を得る必要があり、これは普通決議の過半数よりも厳しい条件となっておりますので、開催にあたってはしっかりと準備を進めるようにしましょう。

また、当然ながら株主総会の議事録はきっちり残しておきましょう。

定款を変更する

株主総会にて決算月の変更が決議されたら、定款の変更を行います。

事業年度の記載は、定款において自由に定めることが可能な「任意的記載事項」に該当しますが、大抵の会社においては定款に記載されています。

記載されている場合は、定款の「事業年度」の項目を変更後の年度にするようにしましょう。

なお、事業年度は登記事項ではないため法務局へ届け出を行う必要はありません。

税務署へ異動届出書を提出する

最後にご紹介する手続きは「税務署へ異動届出書を提出する」です。

定款変更が完了したら、最後に所轄税務署や都道府県税事務所、市区町村の役所へ異動届出書を提出し、決算月の変更手続きは完了です。

異動届出書の書式は国税庁のHPよりダウンロードできます。

まとめ

以上、決算月の決定が企業にとって重要な理由やそのポイント、変更手続きなどをご紹介いたしました。

特にスタートアップの企業にとって消費税の免税期間を最長にすることは非常に重要であり、決算月はよく検討の上決定する必要があるでしょう。

そのため「多くの企業が3月だからうちも3月」といったような考えでは決算月を決めず、重要事項と捉えるようにしてください。