その対策は本当に大丈夫?法人の節税対策を合法的・計画的に行う方法

法人税は、決算日後2か月以内に法人税の確定申告書を提出したうえで納税する必要があります。利益が大きいことは会社として非常喜ばしいことですが、その分、納税額も増えることになり、創業間もない企業においては、キャッシュフローにも多少なりとも影響が出る可能性があります。

大きな利益が出ることが想定される場合、具体的な節税対策を考えたいところですが、脱税ともとられかねないやり方では意味がありません。また、期末になってから対策するのでは、出来ることにも限りがあります。今回の記事では、合法的にかつ計画的に節税するにはどんな手法があるか、また注意すべきところはどのようなところなのかについて解説していきます。

節税と脱税は違いますが、税法の知識がないと、脱税につながることにもなりかねないので、しっかり要点をおさえましょう。また、税法では「租税回避行為」という定義がありますので、併せて確認しましょう。

節税について

節税というのは、税法に則った方法で、適正な会計処理での未払い計上、税法に規定された優遇措置に基づく償却方法を選定したり、税額控除を適用し、納付税額を最小にすることをいいます。

脱税について

一方脱税は、税法に反する会計処理や取引で、具体的には、仮装隠ぺい、架空計上をいい、一言でいうと虚偽の申告をすることと解釈できます。

例えば、売上を隠したり、過少に申告する、架空の経費を計上したり、経費を水増しして計上することなどが該当し、いずれも発覚すれば、課税当局からは「悪質」と判断され、重加算税などの罰則が適用されます。

租税回避行為

脱税ではありませんが、税法では租税回避行為というものがあります。

これは、法の目を潜り抜けるように取引を行ったり、仕組みを構築して課税を免れる行為をいい、税額を不当に減少させると税務当局が判断した場合、その行為、計算を否認されることがあります。

事前対策の重要性について知ろう

具体的には後述しますが、法人税の節税の手法は、大きく分けると「決算日前に対策が必要なもの」と「決算日後の処理で可能なもの」の二つに分かれます。

「決算日前に対策が必要なもの」とは、会計年度内に実体処理が必要なもので、例えば書類の提出や、事前通知、入出金処理など、物理的にものが動くことを伴うものをいいます。

一方、「決算日後の処理で可能なもの」とは、会計上の処理のみですむもので、帳簿上の処理を行うだけですので、決算日以降に法人税の確定申告書を作成する前段階でも間に合うものをいいます。

代表的な節税対策について知ろう

決算日前に対策が必要なもの

決算賞与

決算賞与は、決算の業績がよかったに起因して、従業員に支給される賞与で、決算日賞与の支払い自体は決算日後でも可能ですが、下記の要件を満たす必要があります。

① その支給額を、各人別に、かつ、同時期に支給を受ける全ての使用人に対して通知をしていること。
② ①の通知をした金額を通知した全ての使用人に対しその通知をした日の属する事業年度終了の日の翌日から1か月以内に支払っていること。
③ その支給額につき①の通知をした日の属する事業年度において損金経理をしていること。

条文ではわかりにくいので、例を挙げると、3月決算の法人であれば、

①3月31日までに決算賞与を支給する各人に金額を通知する。
②決算日から1ヶ月後の4月30日までに支払う。
③決算処理で、「(賞与)〇〇円 (未払金)〇〇円」の仕訳で計上する。

以上の要件で計上が可能になります。

中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)

独立行政法人中小企業基盤整備機構が主催する共済で、本来、取引先が倒産した際に掛金の最高10倍(上限8,000万円)まで無担保無保証人で借り入れができる制度です。

中小企業倒産防止共済では掛金を月額5千円から20万円の範囲内で支払い、総額で800万円になるまで継続することが可能です。

これがなぜ節税につながるかというと、掛け金として支払った金額が法人税法上の経費になるからです。なお、40ヶ月以上納めていれば、契約時に掛金は全額が戻ってきます。掛金が戻ってくるときに収益計上が必要ですが、任意に、いつでも解約可能なので、大きな経費の支出があるとき、または大幅な赤字の会計年度で解約することで、損失と相殺され、課税されないように運用することが可能です。

節税というよりは課税の繰り延べの要素が強い手法です。

短期前払費用の利用

法人税法では、支払った日から1年以内にサービスの提供を受けるものは、一定の要件のもと、支払った日の属する事業年度に損金に算入することを認めています。

具体的には、契約の下に年払いする地代家賃、保険料、リース料などが該当します。

ただし、もともと契約上月払いのものを年払いする場合や、等質等量とはいえない税理士の顧問料などは、この適用はありません。

資産の除却

固定資産は、取得価額(当初の購入した金額)をその資産の耐用年数で除して費用となります。この費用を減価償却費といいます。ですから、もう使用しなくなった固定資産であっても、残存耐用年数があるものについては、減価償却費分しか費用としては計上できません。

そこで、使用しなくなった固定資産を廃棄すると、残存帳簿価額が固定資産除却損として、全額経費に計上され、利益を圧縮することができます。

固定資産を廃棄した場合は、廃棄した時の廃棄物処理業者が発行する証明書、領収書を必ず保存しておきましょう。

決算日後の処理で可能なもの

特別償却、税額控除

青色申告法人の中小企業が一定の設備投資をすると、一定の要件のもと、特別償却か税額控除の適用を受けることができます。

たとえば、「中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は税額控除」の制度では、該当する機械を購入すると、事業に供した事業年度で、取得価額の全額の償却か、取得価額相当額の7%または10%の税額控除が認められます。

なお、特別償却と税額控除は選択適用で、重複しての適用はできません。

未払いの経費計上

経費については、決算日時点で支払いがまだであっても、債務の確定が決算日到来以前であれば、経費として計上できます。

「債務の確定」というのは、一般的には請求書の日付が決算日以前のものと考えて差支えないでしょう。

締日以降の給与の未払い計上

給与は未払いの場合でも、締日が到来していれば未払い給与として経費に計上します。さらに末日締めではない場合、たとえば20日締めの給与であれば、締日以降決算日までに10日分が残ることになります。

この場合、残りの10日分も日割りで未払い給与として計上することが可能です。

ただし、これは従業員給料のみで、役員報酬は適用できません。役員の場合はそもそも日割りの概念がないので注意が必要です。

交際費課税の特例措置の利用

交際費は、中小企業の場合、年間800万円までは損金の額に算入されますが、それを超えた場合は損金として認められません。

ただし、交際費であっても1人あたり5,000円以下の飲食費については、この限りではありません。ですから、決算において1人あたり5,000円以下の飲食費を集計し、交際費の額に含めないことによって、損金算入が可能となります。

ただし、以下の事項を記載した書類の保存が要件となりますので、ご注意ください。

(1)飲食等の年月日
(2)飲食等に参加した得意先、仕入先その他事業に関係のある者等の氏名、名称、その関係
(3)飲食等に参加した者の数
(4)その費用の金額並びに飲食店等の名称及び所在地
(5)その他参考となるべき事項

最後に

以上、法人税の節税対策について、合法的な方法を決算日前後で区分してみてきました。仮装隠ぺいを図った大がかりな脱税ではなくても、事実に反し遡って日付を修正するなどの行為は実務上よく聞く話でもあります。

ですが、仮に軽微なものであっても、事実に反する処理が税務調査などで判明した場合、単に調査官の心象が悪くなるだけでなく、重加算税の対象となる場合もあります。

納付税額を抑えようとの意識のあまり、逸脱した節税対策とならないよう注意しましょう。