スタートアップが法人用クレジットカードを活用する6つのメリット

法人クレジットカードの発行対象は法人及び法人経営者・個人事業主などです。

基本的に法人向けも個人向けもクレジットカードとしての使い方に変わりはなく、法人クレジットカードは商品や原材料の購入・サービス等の支払い手段としてキャッシュレスで決済できます。

また、法人向けクレジットカードは、事業に係る支払いを目的としていることから、経営者だけでなく、他の役員や従業員など複数人で使うことが可能です。

その他、法人向けクレジットカードには、個人向けにはない法人に特化した色々な特典・サービスも付いている場合があります。

この記事ではスタートアップでも使える法人向けクレジットカードについて、その使い方や利用メリットなどについて詳しく解説します。

法人用クレジットカードのメリットって何だと思いますか?

利用するメリットはたくさんありますが、一番大きなメリットはやはり会社の資金繰りを改善したり経費を精算するためのコストが削減できたりすることだと思います。

法人用クレジットカードの利用メリットはおおよそ以下の6つに要約できます。

・資金繰りを改善できる
・経理業務の時間を削減できる
・社員の立替払いがなくなり、個人別の利用状況も把握できる
・法人、個人の利用が明確に分けられる
・法人用クレジットカードの特典やサービスがフルに利用できる
・経費利用の透明化で税務署や金融機関からの信用が増す

以下、各メリットについて詳しく解説します。

資金繰りを改善できる

法人用クレジットカードの利用メリットで一番は会社の資金繰りを改善できることです。

法人用クレジットカードを決済に使っていると、商品を購入したりサービスを受けたりしても決済ですぐに現金を用意する必要がありません。

一般的にクレジットカードの決済は後払いなので、たとえば1ヶ月後に決済していいのならその間、事業資金を他の目的に回すことができます。結果的に資金繰りに余裕ができて資金繰りが改善します。

さらに法人用クレジットカードを積極的に利用していると、クレジットカード会社から定期的に利用明細や利用状況をまとめた経費レポートが送られてくるので、そこにも経費の無駄を省く色々なヒントが見つけられます。

これらの要素は全て会社の資金繰りの改善に結びつけられるものです。

経理業務の時間を削減できる

法人用クレジットカードの利用で資金繰りの改善と並ぶ2大メリットは経理業務の時間が削減できることです。

初期のスタートアップにおいては、経理・管理専門の社員を雇うほど資金的余力もなく、結果として経理業務も創業者が自らやらなければならないことが多いと思います。

個々の従業員が何か経費を払えば、経理担当者は全ての取引を都度細かく記帳する必要がありますし、さらに経費を現金で払う場合には領収書が必要になり、その後の保管や整理も手間がかかります。

また、経費の支払い方法が現金中心の場合、一定程度常に使う程度の現金確保や入出金の管理なども必要になります。

法人クレジットカードを事業活動に係る経費の決済に使うことで、様々な経費項目を1つの法人口座から引き落として精算できます。決済口座から各費用項目を引き落としすることで費用精算の手間が省け、結果として経理業務に関わる業務時間が削減できます。

クレジットカードは、利用明細(日付、支払い先、利用金額等)があるので、これを領収書代わりに保管することで、個別の紙領収書の管理やチェックなどの手間を減らすことができます。

また、会計ソフトの中には、クレジットカードの明細を連動できるものもあります。この機能を使って、各種支払い情報をクラウド会計ソフトに連動することで、仕分け手入力の手間やミスなどを減らすこともできます。

会計ソフトにタイムリーに反映させることで、精緻な資金繰りなどの把握が容易になるなどの副次的効果もあります。

社員の立替払いがなくなり、個人別の利用状況も把握できる

法人用クレジットカードを利用すれば、社員個々の立て替え払いが不要になるとともに個人別に経費をどのように使っているか、経営者は利用明細でチェックできるようになります。

法人用クレジットカードのよい点は、経営者だけが利用するのでなく、必要に合わせてカード会社から複数枚発行してもらって、他の役員や従業員に渡して利用できることです。*
※法人クレジットカードの個々のカード名義はそれぞれ利用する本人です。自分のカードを他者に貸して使用させることもできません。

また個々のカードの決済口座は共通で、取引金融機関にあるその会社の法人名義口座です。

これまでは社用車のガソリン代や高速料金、出張の経費などは、利用の都度社員が立て替えていて、後で経理部が本人から領収証を受け取り精算していたものでした。

しかし、法人用クレジットカードを複数枚作り、社長だけでなく、他の役員や従業員も利用できるよう決済方法を変えると、都度、領収書をもらう必要もなく、また経理部での処理時間も節約でき、一方で経理の透明化で従業員の経費の無駄遣いも防止できることから経費節約につながります。

法人、個人の利用が明確に分けられる

法人用クレジットカードの利用メリットには、法人・個人の利用が明確に分けられるという面もあります。

起業家であれば、まだ会社を立ち上げたばかりの段階では、準備として色々な機材備品や商品、消耗品等を購入しなければならないと思います。購入品目の中にはそれが法人用なのか、それとも個人用なのか、分けるのが難しく取扱いがあいまいなものもあるかもしれません。

早いうちから法人用クレジットカードを1枚作って、事業に係る支出と決済を全てそのカードに一本化しておけば、法人個人の支出の区別が明確に付いて、後になってからでも経理処理がかなり楽になるでしょう。

法人用クレジットカードの特典やサービスがフルに利用できる

個人向けクレジットカードもそうですが、法人用クレジットカードを利用すると、それに伴う各種の特典やサービスを受けることができます。

これもクレジットカード利用の大きなメリットです。

たとえば法人クレジットカード利用に伴うビジネスに特化したサービスとして、出張旅行傷害保険、キャッシング機能(海外利用限定)、紛失盗難保障、ホテルやレストランでの各種割引、国内外の提携空港ラウンジの無料利用などがあります。

起業したばかりのスタートアップの場合は、まだ十分福利厚生諸制度も整っていないでしょうから、役員や社員に法人クレジットカードを持たせ、付いてきたサービスを社員に利用させることで、福利厚生代わりにするという使い方もできます。

また、法人用クレジットカードは、その他のクレジットカードと同じように、利用実績に応じた利用ポイントが付き、そのポイントを他社のポイント等に交換することもできます。

例えば、プロダクトのプロモーションなどでGoogleに払う広告費や、Adobeソフトなどの各種サブスクリプションサービスの利用などがある場合は、それらをクレジットカード払いにしておくことで、ポイントもどんどん溜まっていきます。予め、どのようなポイントに交換できるか確認しておくとよいでしょう。

経費利用の透明化で税務署や金融機関からの信用が増す

税務署や取引銀行が持つ関心事に、税務申告や融資で関わりのある会社経営者が日頃どのように経費を使い、また処理しているかということがあります。

法人用クレジットカードを使用することで、経費処理が透明化されるため、税務署や金融機関への説明がしやすくなり、結果として対外的な信用が増すというメリットがあります。

また、信用金庫等がクレジットカードを提供し、取引(融資)先の企業に対して利用を促すようなケースもあります。そのような場合は、融資元の金融機関を引き落とし先として、法人用のクレジットカードを利用することで、融資元の金融機関への信用度が増す場合があります。

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法人向けクレジットカードの商品スペック

この章ではスタートアップが利用できる法人向けクレジットカードを紹介します。
今回紹介するのは以下の3つです。
・セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エクスプレス・カード
・オリコビジネスカードスタンダード
・ライフカードビジネススタンダード

法人向けクレジットカードといっても、実際の利用者は法人でなく、法人代表者やその会社に属する役員、従業員などです。また個人事業主が利用できる法人用クレジットカードもあります。

希望すれば法人名をカード上に刻印できますが、使うのはあくまでその法人に属する個人です。

さらに法人用クレジットカードを発行しているカード会社でも、利用タイプによってスタンダード型からゴールド型、プラチナ型まで各種あり、種類も膨大なので全てを紹介することはできません。

そこで、多くの法人用クレジットカードの中から、スタートアップも利用できそうで、かつ年会費がやや高めのタイプから、年会費が平均的、無料のタイプまで3通り選んでみました。

法人向けクレジットカードを選ぶ参考にしていただけらたらと思います。

法人向けクレジットカード・スペック一覧表

セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エクスプレス・カードオリコビジネスカードスタンダードライフカードビジネス(スタンダード)
対象者法人経営者・個人事業主法人法人・個人事業主
特徴利用明細には各自利用分は区分表示で明確化・カード利用者ごとカード利用枠を設定
・個々人の利用明細書が一目瞭然
事務費決済用
年会費20,000円
年間200万円以上のショッピング利用で次年度会費10,000円に優遇(税抜き)
初年度無料、2年目からは1枚に付き1,375円無料
メンバー会員4枚まで追加発行、使用者1名追加ごとに年会費3,000円要(税抜き)最大20名
国際ブランドAMERICANEXPRESS/JCBMasterCardMasterCard/JCB/Visa
ショッピング限度額審査で個別設定10万円~1,000万円(カード利用者の総利用可能枠)10万円~500万円
キャッシング利用枠※審査で個別設定なしなし
ポイントサービスありなしなし
法人ETCありありあり(無料)
付帯サービスありありあり

※法人用クレジットカードではキャッシングができる先は少ない一方、個人事業主向けでは個人向けクレジットカード同様、キャッシング枠が付いているものがあります。これは法人用クレジットカードにキャッシング枠を付与していると、経営者がキャッシングで借りた資金を社員給与支払いに充てるケースがあり、使いすぎて会社を不安定化させる原因となることから利用を制限しているためです。

まとめ

今回の記事では、法人クレジットカードの特徴、メリットや利用上の注意点、法人用で利用できるクレジットカードの紹介などについて解説してきました。

法人用クレジットカードの利用メリットは多く、事業経営に有効なものばかりです。

またTVCMなどに象徴されるように、カード会社が、昔よりも創業初期の企業やスモールビジネスを行う個人事業主へのカード発行に前向きになってきている傾向もあります。

これを機会に法人クレジットカードを作り、積極的に事業資金の決済に組み込んでみてはいかがでしょうか。