定時株主総会では何をする?スケジュールや議事録の保管方法をご紹介!

株主総会と聞くと、ニュースで報道されるような大きな会場で経営者と株主が議論を交わす光景をイメージされる方が多いと思いますが、全ての株式会社は株主総会を置かなければならない旨が会社法で定められているため、上場・非上場、大企業・中小企業問わず株主総会への対応が必要です。

最初の事業年度の終了を控えている企業においては、事業年度の終了後の一定の時期に年1回必ず行われる株主総会である「定時株主総会」についてしっかりと理解しておく必要があります。

そこで今回は定時株主総会の概要ややるべきことに加え、開催スケジュールや議事録の保管方法などについても解説していきたいと思います。

株主総会は企業の経営に大きく関わる戦略や人事を決定するための、株式会社における最高意思決定機関です。

株主総会は読んで字の通り「株主の総会」です。創業者を含めた会社に出資をしている株主が一堂に集い、総意により会社の意思決定を行ます。

株主総会で決議する内容としては、会社の定款変更や役員報酬、計算書の承認、役員の選任及び解任などが挙げられます。

臨時株主総会との違いは?

一年に一度必ず行う「定時株主総会」に対して、必要なときに不定期に開かれるものを「臨時株主総会」と呼びます。

定時株主総会では、当事業年度の決算報告および承認や、役員報酬の額、余剰金の配当等を決議しますが、臨時株主総会では、急な取締役の補充や新株予約権の発行など、緊急性が高くかつ株主総会で取り決めるべき重要な事柄が発生した場合に開かれます。

定時株主総会が開催されるのはいつ?

定時株主総会は前述の通り、毎年事業年度の終了後、一定の期間に年一回開催します*。

多くの場合は会社決算日を基準日として、3ヶ月以内に開催します。3月決算の会社を例として考えると、決算日である3月31日を基準日として、その3ヶ月後である6月末までに株主総会を開催することになります。

※あまり多くはありませんが、半年を一事業年度とする会社では半年に一回定時総会を招集することになります

株主が一人だけの場合はどうするの?

起業して間もない会社においては、株主が創業者のみというケースもあることでしょう。

話し合う人がいないため、「定時株主総会は開かなくてもいいのでは?」と思われるかもしれませんが、前述の通り会社法によって開催の義務が定められているため、株主が一人の場合も必ず開催しなければなりません。

定時株主総会の開催の流れを一挙にご紹介!

それでは次に定時株主総会の流れをご紹介します。

計算書類や事業報告書などの作成

まず最初に必要になるのが「計算書類や事業報告書などの作成」です。

これらは定時株主総会において、株主から計算書類と事業報告書等の承認を受けるために必要になります。

取締約会設置会社においては、取締役が計算書類や事業報告書を作成するだけで問題ありませんが、監査役と取締約会設置会社においては、これらの書類を監査役に提出して監査報告を作成しておく必要があります。

計算書類や事業報告書の作成には時間がかかるため、これらの書類作成は決算が終了してすぐに取り掛かるのが好ましいでしょう。

なお、これらの書類が後述の取締役会等で承認されたら、定時株主総会の日の2週間前から5年間保管しておく義務があります。

株主総会招集の決定

取締役会設置会社の場合は、取締役会を開き株主総会招集を決定します。取締役会非設置会社の場合は、取締役が招集を決定できます(取締役が複数いる場合は多数決で招集を決定)。

決定する事項については以下の通りです。

・株主総会の開催日時と開催場所
・株主総会の目的事項(報告事項・決議事項)
・書面投票や電子投票を認める場合にはその旨
・株主総会参考資料の記載事項や代理人による議決権行使の方法等、その他法務省令で定める事項

招集通知の作成・発信

招集通知は、定時株主総会の開催日時や場所、報告事項および決議事項などを記載のうえ、定時株主総会の開催前に発信する必要があります。

通知は一般的に文書によって行われますが、株主の同意を得ている場合はメールなどの電磁的方法により通知を行うことができます。また、株主への計算書類等の提供は招集通知と同じタイミングで行われることが多いです。書面で招集通知を送る場合であれは、招集通知に同封する方法などによって提供されます。

なお、招集のタイミングは、非公開会社か否か、書面投票・電子投票を採用するか否かによって異なります。

<公開会社の場合>
株主総会開催日の2週間前まで

<非公開会社で書面投票・電子投票を採用する会社>
株主総会開催日の2週間前まで

<非公開会社で書面投票・電子投票を採用しない会社>
株主総会開催日の1週間前まで

招集通知では「発信主義」をとるため、「株主に到達した日」ではなく「発信した日」で考えます。また、期間には「発信日」が含まれないため、2週間であれば中14日必要です。例えば、株主総会の開催日が9月25日であれば、9月10日以前に招集通知を発信する必要があります。

取締役会非設置会社で書面投票や電子投票を採用してない会社の場合は、株主全員の同意を取得することで招集手続きを省略することも可能です。

定時株主総会を開催する

開催日当日、事前に定めた目的事項に沿って総会を進行していきます。

総会をスムーズに進行するために、事前に受付方法の確認、想定問答の取りまとめや補足書類の作成などを行っておくとよいでしょう。

企業が大きく成長し株主が増えてくると、事前準備の必要性は高まります。定時株主総会を円滑に運営するための運営事務局の設置を行う企業もあります。

議事録・決議通知書を作成する

定時株主総会は開催したら終わりというわけではありません。株主総会において話し合われた内容をまとめる「議事録」の作成が法律で義務付けられています。

一方、定時株主総会内で決議されたことを株主に通知する「決議通知書」は作成を義務付けられているものではありません。改めて決議内容を通知することで株主の信用を得ることができるため、外部株主が一定数以上いる場合などは必要に応じて検討しましょう。

また、定時株主総会の決議事項のうち、登記が必要なものに関しては2週間以内に議事録を添付した上で登記を行う必要があります。そのため定時株主総会が終わったらできる限り速やかに議事録の作成に取り掛かるようにしましょう。

議事録の保管場所と保存期間

株主総会の議事録は作成して終わりというわけではなく、一定期間保管する義務があり、常に確認できるような状態にしておく必要があります。

この章では、その保管期間や保管方法などについて解説していきます。

保管場所は本店と支店

議事録の保管場所は本店および支店です。本店に議事録、支店にはその写しを保管します。

保管を行う物理的な場所などの詳細などは指定されていませんが、担当者が管理・取り出ししやすいように保管場所などの社内の内部ルールを事前に定めておくとよいでしょう。

法律で保管期間が決まっている

会社法第318条において、議事録は本店で10年間、支店でその写しを5年間保管することが定められています。

もし定められた期間に保管を行わなかった場合、代表取締役に100万円の過料が課せられるため保管期間には注意が必要です。

保管期間を過ぎた場合

定められた保管期間が過ぎた議事録は法律上破棄してしまっても問題ありません。

しかし、定時株主総会の議事録というのは企業の運営に大きく関わる決議内容を記録したものです。もし企業運営に関して何らかの係争が生じた際には、10年以上前の議事録の内容が重要となる場合もあり得ます。

議事録の保管に大きなスペースの確保が必要になるようなケースはあまりないと思いますし、保管期間が過ぎたとしても何らかのかたちで保管しておくことをおすすめします。

議事録を電子化することも可能

保管期間が過ぎても保管しておくのが望ましいと言っても、永久的に保管し続けるとなると管理コストが気になると思います。

そのような場合は、議事録を電子化して保管することをおすすめします。

紙で作成した議事録を保管期間後にスキャンして電子的に保存する方法でも、議事録を電子的に作成する方法でも、法律上は問題ありません。

ただし、株主から閲覧や謄写の請求があった場合に、プリントアウトや表示が可能な状態にしておく必要があります。

なお、議事録を電子化した場合でも、押印に代わる電子署名を付すことは必須事項ではありません。

まとめ

以上、定時株主総会で行うべきことやその開催の流れを解説してきました。

一度必要なドキュメント類の雛形の作成やスケジュールの設計をしておけば、毎年開催毎に慌てふためくようなこともなくなると思います。

定時株主総会の基本をしっかり理解したうえで、はじめての株主総会に臨むようにしましょう。