IT導入補助金ってなに?概要や条件、2020年度の予想スケジュールも

生産性向上のためにシステムの導入やRPAやAIなどの利用を検討されている企業が多くなっているようです。どのような業界においても、人材不足を課題としているというのが要因ではないでしょうか。

年々、労働人口が減少し、これからの時代は人の採用がますます難しくなっていくと言われています。そのような中、企業が注目しているのが、人の労働力に代わるシステム導入やRPAといった自動化システムです。

このようなシステムを導入するためには、多額の費用が掛かり、足踏みをしてしまう企業も少なくないと思いますが、今回ご紹介するIT導入補助金は、そんなシステム導入に掛かる費用を補助してくれるというもので、これからシステム導入を検討されている企業であれば、利用しない手はないでしょう。

今回は、そんなIT導入補助金について、その概要や申請スケジュールなどをご紹介していきます。

まずは、IT導入補助金とはどのようなものなのか、概要を見ていきましょう。

IT導入補助金の概要

IT導入補助金は経済産業省によって行われている事業の一つで、中小企業や小規模事業者を対象とした補助金制度です。

まずは目的や補助金の内容について確認していきましょう。

IT導入補助金の目的

中小企業や小規模事業者がそれぞれの課題を解決するために、システムなどのITツールを導入し、それによって業務の効率化や売上アップ、生産性向上を図ることを目的としており、そのシステムやITツールを導入した経費の一部を補助することで、中小企業や小規模事業者がシステム導入をしやすくするものです。

IT導入補助金の内容

IT導入補助金の特徴としては、導入する側と提供する側のそれぞれの申請が必要となる補助金で、ITツールを導入する側は、IT導入補助金の対象となるITツールの中から選定して導入する必要があり、そのITツールは事前に提供元の企業が申請しておく必要があります。

そのため、IT導入補助金のITツールを申請していないものについては、対象外となりますので注意が必要です。

後述しますが、補助金の申請には、「IT導入支援事業者」を選定することや、「おもてなし規格認証」の取得などが必要となりますので、事前に十分確認してから勧める必要があります。

対象企業の条件

ここからは対象となる企業の条件について見ていきましょう。

条件1:日本の中小企業・小規模事業者であること

IT導入補助金は、日本国内において登録されている中小企業・小規模事業者であるということが大前提です。

ここで言う中小企業とは、資本金や従業員数、業種などが指定されている基準を満たすものを指しており、例えば製造業であれば、資本金は3億円以下、従業員は常勤300人以下であること、小売業であれば、資本金5,000万円以下、従業員数は常勤で50人以下というような業種によって指定されています。

この基準を満たす企業であれば、対象となります。

条件2:SECURITY ACTIONの「★一つ星」または「★★二つ星」の宣言をすること

IT導入補助金を申請するには、IT導入補助金の申請書類だけではなく、SECURITY ACTIONというものを所定の手続きにより宣言する必要があります。

SECURITY ACTIONとは、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)によって実施されているもので、中小企業や小規模事業者などが情報セキュリティ対策に取り組むことを宣言するという制度で、「★一つ星」と「★★二つ星」の2段階になっています。

IT導入補助金の申請には、この「★一つ星」「★★二つ星」のいずれかを宣言することが必要です。

条件3:労働生産性の伸び率向上の目標を掲げること

IT導入補助金は中小企業の生産性向上や売上アップなどを目的としているため、申請の段階で、労働生産性が向上する計画を立てる必要があり、ITツールの導入によって、労働生産性の伸び率が3年後には1%以上、4年後には1.5%以上、5年後には2%以上の目標数値を掲げることが必要とされています。

そのため、ただITツールを導入したいからという目的では、IT導入補助金の対象にはなりません。

条件4:登録されているITツールを導入すること

IT導入補助金で利用できるITツールは、事前に登録されているITツールである必要があります。

いつもお世話になっているIT企業に頼もうと思っても、導入予定のITツールを提供している企業が別の企業であれば、その別の企業に導入をお願いする必要があります。

一方でITツールを提供している企業は、「IT導入支援事業者」という形で登録しておくことと、提供するITツールも事前に登録しておく必要があります。

一般的な補助金や助成金は、「利用する側」の申請だけが必要なことが多いですが、IT導入補助金では、「提供する側」の登録も必要となっていることが特徴と言えるでしょう。

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補助金の内容について

ここからは、補助金のことについて確認していきましょう。

補助金内容

IT導入補助金には2つの種類があり、それぞれ「A類型」「B類型」となります。
A類型やB類型の違いは、利用するITツールによって改善が期待される業務工程の数や導入目的の種類によって決まっております。

業務パッケージソフト・効率化パッケージソフト・汎用パッケージソフトの3つのソフトウェアがあり、それぞれ「顧客対応」「人材配置」「自動化・分析」「汎用」などの業務プロセスがあります。

これらを元に、

A類型:すべてのパッケージの中から2つ以上の組み合わせで、かつ業務プロセスの内容を1つ以上が含まれているもの
B類型:すべてのパッケージの中から5つ以上の組み合わせで、かつ業務プロセスは最低3つ以上が含まれているもの

と、決められています。

補助金の金額や補助率は以下の通りです。

A類型:40万円~150万円未満
B類型:150万円~450万円
補助率はいずれも1/2以下となっています。

補助金額の例

補助金の金額については、具体的な例を挙げるとすると、100万円するシステム導入の経費をIT導入補助金を利用すると、A類型だった場合、100万円の経費をITツール提供企業に支払い、その後補助金申請により100万円の内50万円が支給されるというイメージです。
あくまでも、補助金の申請が通った場合のみとなります。

申請の流れ(申請から採択まで)

ここからは、申請から採択されるまでの申請の流れについて見ていきましょう。

申請の流れは以下のようになります。

1.ITツールを検索して選定する
2.SECURITY ACTIONを宣言しておく
3.交付申請を行う
4.交付決定通知が届く(交付決定)
5.事業を開始する
6.事業実施効果報告を提出する

このように、ITツールの選定やSECURITY ACTIONの宣言、交付申請をしたうえで事業を開始し、最終的に補助金をもらうための事業実施効果報告を提出する流れで進みます。

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公募スケジュール

次に、過去の申請スケジュールの情報から、2020年のスケジュール予想をしてみましょう。

2019年度のスケジュール

第一次公募は以下のような締切期日となっています。
・A類型:2019年6月12日(水)17:00まで
・B類型:2019年6月28日(金)17:00まで
第二次公募は2019年8月23日で終了しています。

2020年度のスケジュール(予想)

今年2019年度の申請スケジュールを見ると、6月に第一次公募、8月に第二次公募を実施しています。その点から考えると、第一次公募は6月と考えるべきでしょう。

また、第二次公募や第三次公募は、その年ごとにある・なしが決まるため、始まってみないとわからないという部分があります。

申請のポイント

最後に、申請のポイントについて見ていきましょう。

ポイント1:早めに申請する

IT導入補助金は、予算が決まっている補助金となるため、早い者勝ちという形になっています。

第一次公募の後に、第二次公募や第三次公募もあるケースがありますが、それらは予算が残っているから公募をするというもののため、早めに申請するほうが予算の問題も絡まずに比較的スムーズに申請を進めることが出来るでしょう。

ポイント2:「おもてなし規格認証2019」の取得する

審査の加点になると言われている「おもてなし規格認証2019」の取得をするのがおすすめです。申請の時には出来るだけ加点を付けられるようにしておくと良いでしょう。

ポイント3:クラウドの利用

ITツールの中でも、時代はクラウド利用になってきており、そのようなクラウドのITツールを利用することで、非クラウドのシステムや仕組みよりは現代に合ったサービスを利用すると考えられるでしょう。

まとめ

ここまで、IT導入補助金の利用について、どのような補助金制度なのか、申請のポイントなどについてご紹介してきました。

IT導入補助金は国の予算で限度額が決まっているため、予算が無くなり次第終了というかたちになっています。前年度は第3次公募までありましたが、出来る限り第1次の公募で申請するようにしましょう。