スタートアップの人材育成で利用したい!オススメの「人材開発支援助成金」について

人材不足は多くの企業で課題となっており、それに伴い採用コストも高騰しています。

労働人口の減少に伴い、これからますます人材不足は加速していくと言われており、システム開発やドメイン知識を備えた人材が必要なスタートアップにおいては特に、人材の確保が難しい状況になってきています。

人材不足を新規雇用だけで補うのが難しい状況の中で、「スキルが不足している人を自社で育てる」というアプローチで人材を補強していくことも考えていく必要があります。

しかしながら、ただでさえ人材が不足しているスタートアップにおいては、自社のリソースのみで教育研修を行うことは、かなりの負担になります。

そこで今回は、スタートアップやベンチャー企業において、自社の社員への教育に際し利用できる可能性のある「人材開発支援助成金」についてご紹介していきます。

まず、人材開発支援助成金とはどのようなのものなのか、見ていきましょう。

人材開発支援助成金は、厚生労働省によって出されている助成金です。厚生労働省では、「職業能力開発の促進」という目的で人材開発支援助成金を運営しています。

人材開発支援助成金の概要

厚生労働省の「職業能力開発の推進」という目的のもと、各コースや訓練ごとに助成額、条件などが決められており、人材開発支援助成金は、基本的には「会社で働く人材の育成」が行われた際に、育成に関する費用を軽減するものとなっています。

具体的には以下のようにいくつかのコースに分かれています。

人材開発支援助成金のコース

・特定訓練コース
・一般訓練コース
・教育訓練休暇付与コース
・特別育成訓練コース
・建設労働者認定訓練コース
・建設労働者技能実習コース
・障害者職業能力開発コース

いずれも、「大企業」「中小企業」という分類によって支給される助成額に差があります。中小企業に該当するか否かは以下のリンクからご確認ください。

スタートアップにオススメの人材開発助成金を紹介

数あるコースの中で、スタートアップが利用するべき助成金はどのようなコースなのでしょうか。
スタートアップが利用するべきおすすめのコースや訓練は大きく分けて2つあります。そちらを見ていきましょう。

特定訓練コース 若年人材育成訓練

1つ目のオススメは、「特定訓練コース 若年人材育成訓練」です。

どんな内容?

若年人材育成訓練は、名称の通り若年者が利用できる助成金で、企業に入社してから(雇用契約締結後)5年を経過しておらず、かつ35歳未満の方に対して研修が行われた際に利用できる助成金で、対象者が受講した研修による費用の一部が支給されるというものです。

若年人材育成訓練においては、以下のような内容の訓練に対しての助成が行われます。

・Off-JT(外部研修)による訓練
・訓練時間が10時間以上である

例えば、入社した新人に対して、Javaやネットワークに関しての教育を外部研修を通じて行うような場合です。

訓練としての条件を満たしている場合でも、実際に申請した内容が必ず通るということではありませんので、申請前にハローワークの窓口などで相談しておくことをオススメします。

支給される助成金額など

支給される助成金額については、以下のようになっています。
賃金助成

・1時間当たり760円(大企業の場合は380円)
※生産性要件を満たす場合には960円(大企業の場合は480円)
※生産性要件とは、行政が用意している「生産性要件算定シート」において、「(直近の生産性-3年前の生産性)÷3年前の生産性」の結果、6%以上伸びている場合、満たしているということになります。

経費助成

・Off-JTに関する費用に対して45%(大企業の場合は30%)
※生産性要件を満たす場合には60%(大企業の場合は45%)

特定訓練コース 特定分野認定実習併用職業訓練

2つ目のオススメは、「特定訓練コース 特定分野認定実習併用職業訓練」です。

どんな内容?

特定訓練コース特定分野認定実習併用職業訓練は、特定分野として認定を受けている「建設業」や「製造業」「情報通信業」に関して、「認定実習併用職業訓」というものが適用となるもので、IT企業などは、OJT(社内研修)を含んだ訓練計画を立て、OJTの賃金助成も含めて申請出来る助成金です。

訓練計画は最低6か月間の計画を立てる必要があり、事前に大臣認定を受けるという特徴があります。

支給される助成金額など

支給される助成金額については、以下のようになっています。
賃金助成

・1時間当たり760円(大企業の場合は380円)
※生産性要件を満たす場合には960円(大企業の場合は480円)
・OJTに関して、1時間当たり665円(大企業の場合は380円)
※生産性要件を満たす場合には840円(大企業の場合は480円)

経費助成

・Off-JTに関する費用に対して45%(大企業の場合は30%)
※生産性要件を満たす場合には60%(大企業の場合は45%)

OJTの部分の賃金助成が出ることが、若年人材育成訓練と異なる部分と言えます。

人材開発支援助成金のメリット

人材開発支援助成金を利用すると、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。

新人教育に利用できる

人材開発支援助成金は、新人教育で実施する研修に対して利用することが出来るため、IT業界の人材不足を補うためにこれまで非IT分野で業務をされていた中途採用の方や、文系の学校を出た新卒採用の方にもIT系の技術を研修で学ばせることができます。

「特定分野」に該当する

情報通信業は、特定分野という業種になっているため、他の業界では利用できないような助成金の利用が出来るため、情報通信業の企業にとっては、利用しない手はないでしょう。

申請手続きの流れ

次に、申請に必要や書類や流れについて見ていきましょう。

申請に必要な書類

人材開発支援助成金を申請するために必要な書類は、それぞれ申請する内容によって異なります。
訓練計画など共通する書類もありますが、特定訓練コースについては、以下のサイトをご確認ください。

どれくらいの期間がかかる?

申請するコースによっても異なりますが、申請書類を作る期間や研修の内容を検討する期間などを含めると、2〜3か月は見ておいた方が良いでしょう。
さらに、特定分野認定実習併用職業訓練の場合には、大臣申請が別途必要なため、2か月以上プラスで掛かると思った方が良いでしょう。

具体的な利用例

ここで、助成金申請した際に、どのような訓練が出来るのか、どれくらいの助成額が戻ってくるのか、見ていきましょう。

助成金を活用した訓練とは

助成金を活用して受講できる訓練には、様々な訓練がありますが、例えばIT企業であれば、4月から入社した大学新卒入社や高校新卒入社の方に対しての新人研修実施や、中途採用の方に対しての研修、エンジニアの方に対して、スキル転換する場合などに利用することが出来ますが、それぞれのコースなどが、確実に受理されるということは無いため、事前に窓口で相談してみることがおすすめです。

どれくらいの費用が助成される?

では、どれくらいの助成金が申請できるのか、事例を参考に見ていきましょう。

若年人材育成訓練の場合は、以下のようになります。

・研修10時間を行い、その経費に100,000円掛かった場合
賃金助成:10時間×760円=7,600円(中小企業の場合)
経費助成:100,000円×45%=45,000円(中小企業の場合)
合計、52,600円の助成金申請が出来るという形になります。
※あくまでも参考例です。

特定分野認定実習併用職業訓練の場合は、以下のようになります。

・研修500時間(Off-JT100時間、OJT400時間)を行い、そのOff-JT経費に300,000円掛かった場合
賃金助成(Off-JT):100時間×760円=76,000円(中小企業の場合)
賃金助成(OJT):400時間×665円=266,000円(中小企業の場合)

経費助成:300,000円×45%=135,000円(中小企業の場合)
合計、477,000円の助成金申請が出来るという形になります。
※あくまでも参考例です。

申請のポイント

最後に、申請のポイントについて見ていきましょう。

大臣申請が必要な助成金に注意

今回ご紹介してきた助成金を利用する際に、特定分野認定実習併用職業訓練の場合には、訓練計画を申請する際、厚生労働大臣の認定を受ける必要があるため、通常よりも2か月ほど申請期間が長くなります。
そして、厚生労働大臣の認定を受ける必要があるため、若年人材育成訓練の申請よりも作成する書類や用意する書類などが多いため、申請に関してのコスト(労力)が掛かると思った方が良いでしょう。

助成金ありきの研修は危険

助成金や補助金は利用できるものは利用した方が良いですが、助成金があるからといって、助成金目当てや助成金ありきの研修計画は、本来の人材育成の目的から外れる可能性があるため、あくまでも助成金や補助金は、「あれば良いな」程度に考えた方が良いでしょう。

まとめ

これまで、スタートアップにオススメの人材開発支援助成金についてご紹介してきました。
IT企業は、特に建設業、製造業、情報通信業が利用できる「特定分野」の助成金が利用できるため、積極的に利用してくべきでしょう。

しかし、申請業務に関して、助成内容に見合わない労力がかかってしまっては本末転倒です。助成金申請に慣れたメンバーがいない場合には、申請業務を社労士にお願いするのも一つの手でしょう。余計な費用をかけたくない場合は、申請前に事前に質問事項をまとめたうえで、管轄するハローワークにて書類のチェックや申請・受給の流れについての説明を受けておくとよいでしょう。