新型コロナウイルスが全世界的に猛威を振るうようになりパンデミックの様相を呈するようになっています。
それに伴い人・物・金の活動も停滞しており、新型コロナウイルスの影響は観光産業だけでなく、今や全ての業種に波及して、この騒動がいつ収束するのか先が見えない状況です。
そうなると経済活動も長期的に停滞し国内外の企業に悪影響があるのは必至で、パニックを避けできるだけ正常化を進めるためにも国としても適切な対策を打つ必要があります。
すでに2月から4月にかけていくつか経済対策は打たれていますが、この記事ではその動きを踏まえ、新型コロナウイルス関連の補助金・助成金、融資等の措置について解説します。
<最近の動向>
目次
【融資】新型コロナウイルス感染症特別貸付制度の創設
- 対象
- 中小企業・小規模事業者
- ジャンル
- 資金繰り
- 融資関連
- 管轄
- 日本政策金融公庫
政府により中小・小規模事業者を支援するための特別貸付制度など総額1兆6,000億の金融措置が決定され、中小企業を対象に実質無利子、無担保で融資する5千億円超の新制度を創設するなど、融資の面でも対策が打たれています。
以下では国の公的機関である日本政策金融公庫(以下日本公庫)が創設した小規模企業向け融資制度「新型コロナウイルス感染症特別貸付」について解説します。
新型コロナウイルス感染症特別貸付とは?
新型コロナウイルス感染症特別貸付とは、日本公庫が、新型コロナウイルス感染症により影響を受け業況が悪化した事業者(事業性のあるフリーランスを含む)に対し、既存の融資枠と別枠で融資を行う新たに創設された制度です。
信用力や担保によらず一律金利とし、融資後の3年間まで0.9%の金利引き下げがあります。更に、後述の特別利子補給制度により、利下げ限度額以下の低減した利率の利息部分について、公庫以外の実施機関から別途利子供給を受けることができるため、当初3年間は実質無利子で利用することができます。
実質無利子であることに加え無担保であることからも、新型コロナウイルス感染症の影響を受けている企業にとっては利用しやすくメリットも大きい制度です。
新型コロナウイルス感染症特別貸付の内容
対象となる事業者
新型コロナウイルス感染症の影響を受けて一時的に業況が悪化しており、次のいずれかに該当し、かつ、中長期的に業況が回復し発展することが見込まれる事業者
・最近1ヵ月の売上高が前年または前々年の同期と比較して5%以上減少している方
・業歴3ヵ月以上1年1ヵ月未満の場合は、最近1ヵ月の売上高が次のいずれかと比較して5%以上減少している方
①過去3ヵ月(最近1ヵ月を含む)の平均売上高、②2019年12月の売上高、③2019年10月から12月の平均売上高
特別貸付の内容
利 率 :当初3年間0.9%引き下げ、4年目以降基準金利に移行*1
資金使徒 :運転資金および設備資金
担 保 :無担保
返済期間 :設備資金は20年以内、運転資金は15年以内*2
融資限度額:中小企業事業は3億円、国民生活事業は6,000万円*3
※1 利下げ限度額は中小企業事業1億円、国民生活事業3,000万円
(生活衛生新型コロナウイルス感染症特別貸付・マル経融資の金利引き下げ・生活衛生改善貸付の合計)
※2 いずれもうち据置期間が5年以内
※3 いずれも別枠
特別利子補給制度
特別利子供給制度とは、日本公庫の「新型コロナウイルス感染症特別貸付」等により貸付を行った中小企業者等のうち、特に影響の大きい事業性のあるフリーランスを含む個人事業主、また売上高が急減した事業者などに対して、国が指定した中小企業基盤整備機構(通称「中小機構」)が利子補給を行うことで、資金繰り支援を実施する仕組みです。
当初公庫等の既往貸付の借換部分はこの制度の対象ではありませんでしたが、政府の指示により借換部分も実質無利子化の対象となりました。
これにより当初3年間の金利が実質無利子となります。
対象となる事業者
「新型コロナウイルス感染症特別貸付」等により借入を行う事業者のうち、以下の要件を満たす事業者
小規模事業者 | 中小企業者 | |
個人 | 要件なし | 売上高▲20%以上 |
法人 | 売上高▲15%以上 | 売上高▲20%以上 |
利子補給
期 間:借入後当初3年間
補給対象上限:中小企業事業は1億円、国民生活事業は3,000万円
【融資】生活衛生新型コロナウイルス感染症特別貸付制度の創設
- 対象
- 生活衛生関係事業者のみ
- ジャンル
- 資金繰り
- 融資関連
- 管轄
- 日本政策金融公庫
生活衛生新型コロナウイルス感染症特別貸付とは?
生活衛生新型コロナウイルス感染症特別貸付は、飲食業や美容や旅館などのサービス業など生活衛生関係の事業の営業者向けの融資制度です。
新型コロナウイルス感染症特別貸付と同様に、実質無利子であることに加え無担保であることからも、新型コロナウイルス感染症の影響を受けている飲食業やサービス業の方にとっては利用しやすくメリットも大きい制度です。
生活衛生新型コロナウイルス感染症特別貸付の内容
対象となる事業者
新型コロナウイルス感染症の影響を受け、最近の売上が一定程度減少している生活衛生関係営業者の方で、次のいずれかに該当し、かつ、中長期的に業況が回復し発展することが見込まれる事業者
・最近1ヵ月の売上高が前年または前々年の同期と比較して5%以上減少している方
・業歴3ヵ月以上1年1ヵ月未満の場合は、最近1ヵ月の売上高が次のいずれかと比較して5%以上減少している方
①過去3ヵ月(最近1ヵ月を含む)の平均売上高、②2019年12月の売上高、③2019年10月から12月の平均売上高
特別貸付の内容
利 率 :当初3年間0.9%引き下げ、4年目以降基準金利に移行*1
資金使徒 :運転資金および設備資金*2
担 保 :無担保
返済期間 :設備資金は20年以内、運転資金は15年以内*3
融資限度額:6,000万円(別枠)
※1 利下げ限度額は3,000万円
(生活衛生新型コロナウイルス感染症特別貸付・マル経融資の金利引き下げ・生活衛生改善貸付の合計)
※2 振興計画認定の組合員の場合のみ運転資金の利用が可
※3 いずれもうち据置期間が5年以内 いずれも別枠
特別利子補給制度
生活衛生新型コロナウイルス感染症特別貸付も特別利子補給制度の対象となっているので、条件を満たせば当初3年間の金利が実質無利子となります。
(適用条件は新型コロナウイルス感染症特別貸付にて解説した条件と同一)
【融資】セーフティーネット貸付の特例措置
- 対象
- 中小企業・小規模事業者
- ジャンル
- 資金繰り
- 融資関連
- 管轄
- 日本政策金融公庫
セーフティネット貸付(経営環境変化対応資金)とは?
セーフティネット貸付とは、社会的、経済的環境の変化などの外的要因により、一時的に売上の減少など業況悪化を来しているが、中期的にはその業績が回復し、かつ発展することが見込まれる中小企業者の経営基盤の強化を支援するために設けられた融資制度のことです。
セーフティネット貸付の特例措置の内容
2月14日より、セーフティネット貸付の要件を緩和し、「売上高が5%以上減少」といった数値要件にかかわらず、今後の影響が見込まれる事業者も含めて融資対象になります。
【融資】マル経融資の金利引き下げ措置
- 対象
- 中小企業・小規模事業者
- ジャンル
- 資金繰り
- 融資関連
- 管轄
- 日本政策金融公庫
その他の日本公庫の融資対策として「マル経融資の金利引き下げ」があります。
これは従来から日本公庫が行っているマル経融資(小規模事業者経営改善資金融資)の金利を引き下げる特別措置です。
マル経融資とは?
マル経融資とは、「小規模事業者経営改善資金融資」のことで、商工会議所・商工会・都道府県商工会連合会の経営指導員による経営指導を受けた小規模事業者に対して、日本公庫が無担保・無保証人で融資を行う制度のことです。
一年以上事業実績がある経営者はマル経融資(小規模事業者経営改善資金)を活...
マル経融資の特例措置の内容
新型コロナウイルス感染症の影響により売上が減少した小規模事業者の資金繰りを支援するため、別枠1,000万円の範囲内で当初3年間、通常の貸付金利から引下げされ、据置期間が延長されます。
対象となる事業者
最近1ヶ月の売上高が前年または前々年の同期と比較して5%以上減少している小規模事業者の方
特別措置の内容
①利子の引き下げ
これまで:1.21% *1
特別措置:当初3年間0.9%引き下げ、4年目以降基準金利に移行 *2
②据置期間の延長
これまで:運転資金は1年以内、設備資金は2年以内
特別措置:運転資金は7年以内、設備資金は10年以内
※1 2020年4月1日時点
※2 ただし融資限度額は(別枠)1,000万円まで
マル経融資の利子補給
マル経融資も特別利子補給制度の対象となっているので、条件を満たせば当初3年間の金利が実質無利子となります。
(適用条件は新型コロナウイルス感染症特別貸付にて解説した条件と同一)
また一方で多くの自治体では、マル経融資のコロナ特例により引き下げられた後の利子部分について、3年間利子補給を行う旨発表しています。
この条件に該当すれば中小機構が利子補給を行わなくても、3年間は実質無利子で利用することが可能です。
【融資】生活衛生改善貸付の金利引き下げ措置
- 対象
- 生活衛生関係事業者のみ
- ジャンル
- 資金繰り
- 融資関連
- 管轄
- 日本政策金融公庫
その他の日本公庫の融資対策として「生活衛生改善貸付の金利引き下げ」があります。
これは従来から日本公庫が行っている生活衛生改善貸付の金利を引き下げる特別措置です。
生活衛生改善貸付とは?
生活衛生改善貸付とは、生活衛生同業組合などの経営指導を受けている生活衛生関係の事業を営む小規模事業者の方が経営改善に必要な資金を無担保・無保証人で利用できる制度です。
生活衛生改善貸付の特例措置の内容
新型コロナウイルス感染症の影響により売上が減少した小規模事業者の資金繰りを支援するため、別枠1,000万円の範囲内で当初3年間、通常の貸付金利から引下げされ、据置期間が運転資金で3年以内、設備資金で4年以内に延長されます。
対象となる事業者
最近1か月の売上高が前年または前々年の同期と比較して5%以上減少している小規模事業者の方
特別措置の内容
①利子の引き下げ
これまで:1.21% *1
特別措置:当初3年間0.9%引き下げ、4年目以降基準金利に移行 *2
②据置期間の延長
これまで:運転資金は1年以内、設備資金は2年以内
特別措置:運転資金は3年以内、設備資金は4年以内
※1 2020年4月1日時点
※2 ただし融資限度額は(別枠)1,000万円まで
生活衛生改善貸付の利子補給
生活衛生改善貸付も特別利子補給制度の対象となっているので、条件を満たせば当初3年間の金利が実質無利子となります。
(適用条件は新型コロナウイルス感染症特別貸付にて解説した条件と同一)
【融資】衛生環境激変対策特別貸付
- 対象
- 生活衛生関係事業者のみ
- ジャンル
- 資金繰り
- 融資関連
- 管轄
- 日本政策金融公庫
衛生環境激変対策特別貸付とは?
衛生環境激変対策特別貸付とは、感染症等の発生による衛生環境の著しい変化に起因して、一時的な業況悪化から資金繰りに支障を来している生活衛生関係営業者の経営の安定を図るために設けられた日本公庫国民生活事業の特別貸付制度です。
衛生環境激変対策特別貸付の内容
対象となる事業者
新型コロナウイルス感染症の発生により、一時的な業況悪化から資金繰りに支障を来している旅館業、飲食店営業及び喫茶店営業を営む方であって、次のいずれにも該当する方
・最近1ヵ月間の売上高が前年または前々年の同期に比較して10%以上減少し、今後も減少が見込まれる
・中長期的に業況が回復し発展することが見込まれる
特別貸付の内容
利 率 :基準金利*1
資金使徒 :運転資金
返済期間 :7年以内(うち据置期間2年以内)
融資限度額:旅行業は3,000万円、飲食店営業・喫茶店営業は1,000万円*2
※1 振興計画認定の組合員の場合のみ0.9%の利下げ
※2 いずれも別枠
【融資】危機対応融資
- 対象
- 中小企業・小規模事業者
- ジャンル
- 資金繰り
- 融資関連
- 管轄
- 商工組合中央金庫
危機対応融資とは?
国費によって、貸倒リスクの高い中小企業への融資の補償や利子の引下げを行うことで、大規模な自然災害やリーマンショック等の危機に際して中小企業の資金繰りを支える仕組みを危機対応業務と呼び、危機対応業務の対象となる危機事案は、主務大臣が認定を行います。
今回、主務大臣より商工中金が危機対応業務発動にかかる指示を受けたことから、危機対応融資による資金繰り支援を実施することになりました。
危機対応融資の内容
金利は商工中金所定の利率ですが、日本公庫の基準金利(1.11%*)より高ければその基準金利までの利子補給が、完済まで受けられます。またその基準金利のうち0.9%の部分については、3年間利子補給が受けられます(利子補給制度)。
さらに残高1億円までは残りの部分(0.21%*)について、条件に該当すれば3年間利子補給が受けられます(特別利子補給制度)。
※日本公庫の2020年4月1日現在の基準利率(貸出期間5年)
融資限度額は貸付ベースで5億円、貸出期間は設備20年、運転15年以内(据置期間は最長5年)です。
融資限度額と基準金利を除き、日本公庫の「新型コロナウイルス感染症特別貸付」とほぼ同等の内容になります。
【信用保証】セーフティネット保証4号・5号
- 対象
- 中小企業・小規模事業者
- ジャンル
- 資金繰り
- 債務保証
- 管轄
- 経済産業省(信用保証協会)
セーフティネット保証とは?
信用保証協会には取引先の倒産、災害、大規模な信用危機、取引金融機関の破綻などで経営の安定に支障が生じている中小企業等を支える信用保証制度としてセーフティネット保証(普通保証2億円、無担保保証8,000万円、合計2.8億円)があります。
今回新型コロナウイルス関連の保証制度として、一般保証とは別枠で最大2.8億円を保証するセーフティネット保証4号・5号が発動されました。
利用するにあたっては、まず本店等所在地の区市町村の認定取得が必要です。
セーフティネット保証4号(突発的災害[自然災害等])
新型コロナウイルス関連で幅広い業種で影響が生じている地域について、一般枠とは別枠(最大2.8億円)で借入債務の100%を保証してくれます。
※売上高が前年同月比▲20%以上減少等の場合
対象となる事業者
次のいずれにも該当する中小企業者が措置の対象となります。
・申請者が、指定を受けた地域において1年間以上継続して事業を行っている
※2020年3月2日に新型コロナウイルス感染症について、全都道府県を対象に指定
・指定を受けた災害等の発生に起因して、その事業に係る当該災害等の影響を受けた後、原則として最近1か月間の売上高又は販売数量*が前年同月に比して20%以上減少しており、かつ、その後2か月間を含む3か月間の売上高等が前年同期に比して20%以上減少することが見込まれる
※建設業にあっては、完成工事高又は受注残高
①対象資金 :経営安定資金
②保証割合 :100%保証
③保証限度額:一般保証等とは別枠で2億8,000万円
※セーフティネット保証5号とは併用可だが、同じ枠になる
セーフティネット保証5号(業況の悪化している業種[全国的])
新型コロナウイルス関連で特に重大な影響が生じている業種について、一般枠とは別枠(最大2.8億円、4号と同枠)で借入債務の80%を保証してくれます。
※売上高が前年同月比▲5%以上減少等の場合
対象となる事業者
以下のいずれかの要件を満たすことについて、市区町村長の認定を受けた中小企業者が対象
・指定業種に属する事業を行っており、最近3か月間の売上高等が前年同期比5%以上減少の中小企業者
・指定業種に属する事業を行っており、製品等原価のうち20%を占める原油等の仕入価格が20%以上、上昇しているにもかかわらず、製品等価格に転嫁できていない中小企業者
指定業種は経済産業省・中小企業庁のHPから確認することができます。
なお、2020年4月8日に151業種が追加指定され、指定業種は合計で738業種まで拡大しています。
保証条件
①対象資金 :経営安定資金
②保証割合 :80%保証
③保証限度額:一般保証等とは別枠で2億8,000万円
※セーフティネット保証4号とは併用可だが、同じ枠になる
信用保証付き融資における保証料・利子減免
都道府県等による制度融資を活用し、民間金融機関においても実質無利子・信用保証料負担なしとなる融資を拡大する予定です。また信用保証付き既往貸付の借換部分においても実質無利子融資への借換が可能となる予定です。
これにより上限3000万円までの制度融資利用において、当初3年間の金利が実質無利子となります。
対象要件と保証料補助割合
SN4号・5号・危機関連保証の適用要件と連動した売上高等の減少を満たすことで、保証料補助と利子補給を実施。
①個人事業主の場合(事業性のあるフリーランス含む、小規模に限る)
・売上高等前年同月比▲5%以上減少で保証料ゼロ+金利ゼロ
②小・中規模事業者(①除く)の場合
・売上高等前年同月比▲5%以上減少で保証料1/2
・売上高等前年同月比▲15%以上減少で保証料ゼロ+金利ゼロ
その他、追加支援措置
これまで解説してきたセーフティネット保証(4号・5号)とは別に、さらに別枠(2.8億円)で全国・全業種を対象に借入債務の100%を保証する危機関連保証制度が追加される予定です。
対象となる事業者
指定案件に起因して、原則として、最近1か月間の売上高等が前年同月比で15%以上減少しており、かつ、その後2か月間を含む3か月間の売上高等が前年同期比で15%以上減少することが見込まれる事業者
保証条件
①対象資金 :経営安定資金
②保証割合 :100%保証
③保証限度額:一般保証等とは別枠で2億8,000万円
【リスケ】新型コロナ特例リスケジュール
- 対象
- 中小企業・小規模事業者
- ジャンル
- 資金繰り
- リスケ
- 管轄
- 経済産業省(中小企業再生支援協議会)
新型コロナ特例リスケジュール実施要領とは?
新型コロナ特例リスケジュール実施要領とは、新たに新型コロナウイルス感染症の影響を受けた中小企業者に対して、各都道府県に置かれた中小企業再生支援協議会*が窓口で相談を受けたり金融機関との調整などのリスケジュール計画の策定を支援する取り組みを行うにあたり、基本となる内容や手続き、基準を定めたものです。
※中小企業再生支援協議会とは中小企業の事業再生に向けた取り組みを支援する「国の公的機関」として地域に設置されていて、金融機関経験者・公認会計士・税理士・中小企業診断士等の 専門スタッフが常駐し、中小企業からの様々な経営相談を無料で受けています。
新型コロナ特例リスケジュールの内容
①一括して既存債務の元金返済猶予要請
資金繰りに悩む中小企業者に代わり、主要債権者の支援姿勢を確認の上で、一括して1年間の元金返済猶予の要請を実施。
②資金繰り計画策定における金融機関調整
中小企業者と主要債権者が作成する資金繰り計画の策定を支援します。複数の既往債権者が存在する場合、新規融資を含めた金融機関調整を行った上で、既往債権者の合意形成をサポートします。
③資金繰りの継続サポート
特例リスケジュール計画成立後も、毎月資金繰りを継続的にチェックし適宜助言します(①~③における中小企業者の費用は原則不要です)。
【税金関連】国税の納税猶予制度
- 対象
- 大企業
- 中堅企業
- 中小企業・小規模事業者
- ジャンル
- 経営環境の整備
- 税金関連
- 管轄
- 国税庁
国税納付の猶予制度とは?
新型コロナウイルス感染症の影響により、国税を一時に納付することができない場合、税務署に申請すれば、法令の要件を満たすことで、原則として1年以内の期間に限り、換価の猶予が認められます。
また、新型コロナウイルス感染症にり患された場合等、個別の事情がある場合は、納税の猶予が認められる場合もあります。ここでいう個別の事情とは、財産や事業に相当な損失が生じた場合や、やむを得ず休廃業した場合などが該当します。
国税の猶予制度の内容
対象となる事業者
以下の要件の全てに該当する場合
・国税を一時に納付することにより、事業の継続又は生活の維持を困難にするおそれがあると認められる
・納税について誠実な意思を有すると認められる
・換価の猶予を受けようとする国税以外の国税の滞納がない
・納付すべき国税の納期限から6か月以内に申請書が提出されている
・原則として担保の提供がある(不要な場合もあり) ※条件緩和で担保の提供は原則不要に
猶予の内容
・原則1年間の猶予(状況に応じて更に猶予が延長される場合あり)
・猶予期間中の延滞税の一部が免除
・財産の差し押さえや換価が猶予
【厚生年金関連】厚生年金保険料等の猶予制度
- 対象
- 大企業
- 中堅企業
- 中小企業・小規模事業者
- ジャンル
- 経営環境の整備
- 税金関連
- 管轄
- 厚生労働省(年金事務所)
厚生年金保険料等の猶予制度とは?
厚生年金保険料等の猶予制度では、厚生年金保険料等を一時に納付することにより、事業の継続等を困難にするおそれがあるなどの一定の要件に該当するときは、納付すべき保険料等の納期限から6ヶ月以内に管轄の年金事務所へ申請することにより、換価の猶予が認められる場合があります。
厚生年金保険料等の猶予制度の内容
対象となる事業者
換価の猶予
厚生年金保険料等を一時に納付することにより、事業の継続等を困難にするおそれがあるなどの一定の要件に該当する場合で、納付すべき保険料等の納期限から6ヶ月以内に管轄の年金事務所へ申請した場合*
納付の猶予
以下のいずれかに該当する場合*
・財産について災害を受け、または盗難にあった
・事業主またはその生計を一にする親族が病気にかかり、または負傷した
・事業を廃止し、または休止
・事業について著しい損失を受けた
※ いずれも認められる場合があるというだけで、必ず猶予が認められるわけではありません
猶予の内容
・猶予された金額を猶予期間中に各月に分割して納付可
・財産の差押えや換価(売却等現金化)が猶予
・猶予期間中の延滞金が一部免除
【休暇関連】小学校休業等対応助成金の創設
- 対象
- 大企業
- 中堅企業
- 中小企業・小規模事業者
- ジャンル
- 経営環境の整備
- 休暇関連
- 管轄
- 厚生労働省
この章では新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金について解説します。
新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金とは?
新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金とは、小学校等が臨時休業した場合等に、その小学校等に通う子の保護者である労働者の休職に伴う所得の減少に対応するため、正規雇用・非正規雇用を問わず、労働基準法の年次有給休暇とは別途、有給の休暇を取得させた企業に対する助成金のことです。
新型コロナウイルスの感染拡大防止策として、2020年の3月に創設されました。
小学校休業等対応助成金の助成内容
対象となる事業者
令和2年2月27日から3月31日6月30日*までの間に
・新型コロナウイルス感染症に関する対応として臨時休業等をした小学校等に通う子ども
・新型コロナウイルスに感染した又は風邪症状など新型コロナウイルスに感染したおそれのある、小学校等に通う子ども
の世話を保護者として行うことが必要となった労働者に対し、有給休暇(労働基準法上の年次有給休暇を除く)を取得させた事業者
※2020年4月7日に対象となる休暇取得の期限を延長
助成内容
有給休暇を取得した対象労働者に支払った資金相当額(対象労働者の日額換算賃金額* × 有給休暇の日数)
※各対象労働者の通常の賃金を日額換算したもの(8,330円を超える場合は8,330円)
申請期間
令和2年3月18日〜6月30日まで
【雇用関連】雇用調整助成金の特例
- 対象
- 大企業
- 中堅企業
- 中小企業・小規模事業者
- ジャンル
- 経営環境の整備
- 雇用関連
- 管轄
- 厚生労働省
この章では新型コロナウイルス感染症の影響に伴う雇用調整助成金の特例について解説します。
雇用調整助成金とは?
雇用調整助成金とは、景気の変動や産業構造の変化等の経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、労働者に対して一時的に休業、教育訓練または出向を行い、労働者の雇用維持を図った場合に、休業手当、賃金等の一部を国(厚生労働省)が助成するものです。
助 成 率 :大企業1/2、中小企業2/3
支給限度日数:1年間で100日
※対象労働者は1人1日当たり8,330円が上限
※教育訓練を実施したときの加算額…1人1日当たり1,200円
雇用調整助成金特例措置の内容
今回の措置では従来の雇用調整助成金をベースに、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を踏まえて特例措置が実施されました。
特例措置の具体的な助成内容は以下の通りです。
対象となる事業者
新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業主
※2020年2月28日の特例措置対象事業者の範囲拡大に伴い変更
新型コロナウイルス感染症に伴う日中間の人の往来の急減により影響を受ける事業主で、前年度又は直近1年間の中国関係の売上高等が総売上高等の一定割合(10%)以上である事業主
特例の内容
①生産指標の確認対象期間
これまで:3ヶ月
特 例:1ヶ月
②雇用指標(最近3か月間の月平均値)の要件
これまで:前年同期と比べ5%以上を超えかつ6名以上*増加していない必要あり
特 例:前年対比で増加していても可
※中小企業事業主の場合は10%を超えかつ4名以上
③事業所設置後の期間
これまで:事業所設置後1年未満の事業主は対象外
特 例:事業所設置後1年未満の事業主も対象*
※2020年1月24日時点において事業所設置後1年未満の事業主
④休業等に係る計画届の提出タイミング
これまで:事前の提出が必要
特 例:事後の提出が可能*
※2020年1月24日以降に初回の休業等がある計画届に関し、2020年3月31日までに提出する必要あり
⑤労働者の雇用保険被保険者期間 ※2020年3月10日追加
これまで:6ヶ月未満の労働者
特 例:新規学卒採用者等、継続雇用期間が6か月未満の労働者についても対象
⑥過去に受給した事業主の扱い ※2020年3月10日追加
これまで:受給制限あり
特 例:前回の支給対象期間の満了日から1年を経過していなくても対象*
※支給限度日数は1年間で100日、3年間で通算150日までのところ、特例対象の休業等についてはその制限とは別枠で受給可
特例対象期間
2020年1月24日から7月23日の間に開始した休業等が対象
緊急特例地域における追加措置の内容
さらに、地方自治体の長が一定期間の緊急事態宣言を出して活動の自粛を要請している地域の事業主に対しては、前述の特例に加えて特例措置が講じられています。
緊急特例地域に対する追加特例措置は以下の通りです。
対象となる事業者
自治体の長が緊急事態宣言を出して活動自粛を要請している地域に所在する事業主
追加特例の内容
①助成対象とする労働者
これまで:雇用保険被保険者のみ
特 例:雇用保険被保険者以外*も対象
※1週間の所定労働時間が20時間に満たない労働者
②休業実施の場合の助成率
これまで:中小企業は2/3、大企業は1/2
特 例:中小企業は4/5、大企業は2/3
③生産指標の要件
これまで:3ヶ月
特 例:条件を満たしたものとして扱う*
※緊急特例地域である期間内に休業等を実施した場合
特例対象期間
厚生労働大臣が指定する期間
まとめ
以上をもって新型コロナウイルス関連の補助金・助成金、融資等の措置に関する解説を終わります。
執筆日現在でも、コロナウイルス関連の経済対策が追加で生活衛生関係の事業者向けに出されています。
このように対策状況は日々刻々と変化していますので、事業者は適宜、関係諸機関のHPにアクセスするなどしてまめに情報収集するよう心がけて下さい。
新型コロナウイルスの影響がどこまで及ぶか、当面先が見通せない状況ですが、どんな大きな社会的できごとにも必ず終わりはあります。必ずこの困難な事象もいつかは終了することでしょう。
それまで事業者は、歯を食いしばり、また国や地方自治体の打ってくれた各種対策を上手く活用して、この苦しい時期を乗り切っていただくことを強く願います。