節税効果も!経営セーフティーネットの活用のポイントを紹介

経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)は自社の取引先が倒産したとき、中小企業が連鎖倒産、経営難に陥ることを防ぐために掛ける共済制度です。

連鎖倒産等による資金繰り悪化を防ぐため、掛け金の最高10倍まで無担保・無保証で借入れでき、しかも金利は掛かりません。

まさかのときに備えて掛ける経営セーフティ共済、今回はその概要と借入条件、加入資格や加入までの手続きの流れ、そして加入メリットとしての節税効果などを解説します。

経営セーフティ共済は中小企業の取引先が倒産したとき、連鎖倒産、経営難等を防ぐことを目的として昭和53年4月にスタートした共済制度です。

現在は国の公的機関である独立行政法人中小企業基盤整備機構が主管しています。

それまではこのような共済制度がなかったため、景気後退や大きな社会変動が起こるたび、中小企業中心に倒産件数が増加して、連鎖倒産から失業も発生、さらに社会不安が拡大していました。

しかし政治が景気拡大を図る一方、経営セーフティ共済が事業者に対するセーフティネットとして機能するようになってからは、一定程度、倒産等による社会問題の深刻化を未然防止できるようになり制度ができた意義は大きいといえます。

現状、経営セーフティ共済は約46万社の企業・事業主等に利用されており、共済金の貸付実績も累計で約27万件、融資残高も約1兆9,000億円に達しています。(2019年3月末、中小機構調べ)

今後も経済状況、社会環境の変化に沿って、貸出限度額や掛金月額上限の引き上げなど、適宜見直しが行われ、より使いやすい共済制度の拡充が期待されています。

経営セーフティ共済、安心の4つのポイントとは?

まず、経営セーフティ共済を全体として理解するため、その主要ポイントを4つに要約します。

■1.無担保、無保証人対応で掛金残高の10倍まで借入れできる
「掛金残高の10倍」とありますが、共済貸付金額の上限は「回収困難となった売掛金債権等の額」か「納付された掛金総額の10倍(最高8,000万円まで)」のいずれか少ない方の額

■2.取引先の倒産後すぐに借り入れ可能
共済金の借入れが受けられる取引先の倒産の定義は後述します。

■3.掛金の税制優遇で高い節税効果
掛金は確定申告時、損金算入(法人)あるいは必要経費処理(個人事業主)でき、節税効果があります。

■4.解約手当金が受け取れる
共済契約を解約すれば解約手当金が受け取れる、ただし受取りには条件があり(以下の章で詳細解説)

共済金の借入れが受けられる取引先の倒産の定義は以下の通りです(除く夜逃げ)。

なお、倒産日から6ヶ月を経過したときには共済金の借入れ手続きができないので注意のこと。

・法的整理
・取引停止処分
・でんさいネットの取引停止処分
・私的整理
・災害による不渡り
・災害によるでんさいの支払い不能
・特定非常災害による支払い不能

なお、でんさいネットとは、全国銀行協会が設立した電子債権記録機関「(株)全銀電子債権ネットワーク」の通称で、電子記録債権を記録流通させる新たな決済インフラのことです。

経営セーフティ共済金の借入れ条件

この章では経営セーフティ共済金の借入れ条件を紹介します。

なお、本制度における被害額とは、取引先の倒産等により回収が困難になった「売掛金債権と前渡し金返還請求権」のことをいい、貸付金、融通手形、不動産賃貸料等は対象外です。

また取引期間が1年以上ある主要取引先(自社売上高の20%以上占める先)が倒産したときは、回収困難となった売掛債権等の額に一定金額が加算されます。

■借入限度額
借入限度額は50万円から最大8,000万円までで、被害額と掛金総額の10倍に相当する額のいずれか少ない額です。

■返済期間
返済期間は以下の通りです。

・借入額が5,000万円未満までの場合:5年
・借入額が5,000万円以上6,500未満の場合:6年
・借入額が6,500万円以上8,000以下の場合:7年
※いずれも6ヶ月の据え置き期間含む

■返済方法
毎月均等分割返済方式(期日に返済がない場合、年14.6%の違約金が発生します)

■借入利率
共済金の借入れは金利無利息

■担保、保証人
担保や保証人は不要

■借入れができない条件とは?
①取引先の倒産が、共済加入後6か月未満に生じたものであるとき
②加入から取引先の倒産日までに、6か月分以上の掛金を納付していないとき
③共済金の借入手続きが、取引先の倒産日から6か月を経過した後になされたものであるとき
④共済金の借入時に共済契約者が中小企業者でないとき
⑤借入額が少額であって、次のAまたはBのいずれの額にも達しないとき
A.50万円(共済契約締結時の掛金月額が5,000円であり、かつ共済契約が効力を生じた日から共済金の借入手続きの日までの期間が6か月以上10か月未満である共済契約者にあっては、5,000円に掛金の納付をすべきであった月数を乗じて得た額の10倍に相当する額)
B.共済契約者の月間の総取引額の20%に相当する額⑥共済金の借入手続きをした共済契約者に倒産または倒産に準ずる事態が生じているとき
⑦共済契約者がすでに借り入れた共済金の返済を怠っているとき
⑧倒産した取引先事業者に対し、売掛金債権等を有することとなったこと、またはその回収が困難となったことにつき、共済契約者に悪意または重大な過失があったとき
⑨上記のほか、共済契約者と倒産した取引先事業者との取引額、代金の支払方法などが確認できないとき

など9つの借入れができない条件があります。

など9つの借入れができない条件があります。

経営セーフティ共済の加入資格

経営セーフティ共済の主な加入資格は以下の通りです。

・会社または個人事業者あるいは企業組合、協業組合等

ただし継続して1年以上事業を行っていること、かつ下記表の各事業において「資本金の額または出資の総額」、「常時使用する従業員数」のいずれかに該当する会社または個人事業者

※事業者で住所や事業内容が繰り返し変更されている先、経理内容が不明な先、すでに借入れした共済金の返済を怠っている先、納付すべき所得税・法人税等の滞納先、などは共済制度に加入できません。もちろん反社会的勢力に該当した先も対象外です。

経営セーフティ共済の加入手続きの流れ

この章では経営セーフティ共済の加入手続きの流れを紹介します。

加入手続きを行う窓口によって手順は変わります。

加入窓口は中小機構と業務委託契約を締結している機関で会員(組合員)となっている各地の商工会議所・商工会等の委託団体、及び共済加入予定者と融資取引のある銀行・信用金庫等の金融機関です。

ただし融資取引がなくても、その金融機関と事業に係る預金取引が1年以上(当座預金の場合は1年未満でも可)あれば、その金融機関の本支店で手続きできます。

また金融機関であっても、ゆうちょ銀行、農業協同組合、労働金庫、ネット専業銀行等は経営セーフティ共済を取扱っていないので注意のこと。

筆者のおすすめは地域にある商工会議所・商工会等の委託団体です。

これらの委託団体は全国に万遍なく配置されており、かつ金融機関の取引の有無に拘わらず手続きできるので気兼ねなく申込みできるでしょう。

以下が経営セーフティ共済の一般的な加入手続きの流れです。

■STEP1:窓口にて必要書類*を入手

■STEP2:所定の書類に必要事項を記入

■STEP3:受付窓口に書類提出
郵送による書類の提出は受け付けていないので注意

■STEP4:中小機構から書類の受取り
書類提出後、約2ヶ月で、中小機構から「共済契約締結証書」と「加入者必携」が送られてきます

*STEP1の窓口で必要書類を入手する段階で、中小機構の会員となってない委託団体、及び融資取引がない金融機関で申し込みをするときは、原則、下記記載の公的書類を提示する必要があります。理由としては、それらの機関では申込者の本人確認ができていないこと、取引がないので事業に係る確認書類がないこと、及び納税の義務を履行しているかどうか確認できていないことなどが挙げられます。

【法人、組合等の場合】
・商業登記簿謄本または登記事項証明書(発行から3ヶ月以内の原本)
・法人税の確定申告書(所轄税務署の受付印あるもの、直近の決算書等の添付書類含む)
・法人税の納税証明書

【個人事業主の場合】
・所得税の確定申告書(直近の決算書・収支内訳書等の添付書類含む)
・所得税を納めたことを証する納税証明書
・確定申告書を作成したときに使用した帳簿類(申告が白色の場合)

経営セーフティ共済の利用メリット

経営セーフティ共済に加入しておくと、取引先の倒産等、突然の事態にも共済金が借入れできるので慌てず対処することができます。
これは経営セーフティ共済の大きな加入メリットです。

しかし経営セーフティ共済には別のメリットもあり、それは掛金に関することです。

この章では、経営セーフティ共済の毎月の掛金、及びそれに係る利用メリットを解説します。

掛金について

経営セーフティ共済の掛金は毎月、5,000円から20万円までの範囲(5,000円単位)で自由に選んで掛けることができます。また払い込み途中で掛金の増額や減額も可能です。

掛金は最大で総額が800万円に達するまで積み立てることができます(この場合、共済金の借入最大額が8,000万円)。また掛金の払い込み方法は金融機関の取引口座からの引き落としです。

さらに掛金総額が掛金月額の40倍以上に達していたら掛金の払い込みを止めることもできますし、共済金の借入れを受けたら6ヶ月間、掛金の払い込みを止めることも可能です。

税法上の取扱いについて

これが経営セーフティ共済の掛金に係る最大のメリットですが、払い込みした掛金は税法上、法人なら損金として、また個人事業主なら必要経費として算入可能です。

掛金の金額が大きければ大きいほど利益を圧縮できて「節税効果」が高くなります。

経営セーフティ共済の掛金は、毎月払い込みする以外に一括で前納*する方法も取れますが、前納の期間が1年超のものは、各事業年度末(決算期)に期間の経過に応じて損金または必要経費として算入することができます。

*掛金を前納すると、メリットとして1ヶ月につき掛金月額の1,000分の0.9の前納減額金が得られます。

経営セーフティ共済の一時貸付金

経営セーフティ共済では、取引先倒産時の共済からの借入金以外に、一時貸付金という制度も利用できます。
これは仮に取引先が倒産していなくても、共済契約者が事業資金を必要としたとき、解約手当金*の95%を上限として借入れできる制度です。

※解約手当金は解約の理由(任意解約、みなし解約、機構解約)によって3種類に分類され、また掛金の納付月数にも制限され、支給率が0%~100%まで変わります。

以下が一時貸付金の概要です。

借入限度額

機構解約*の場合に支払われる解約手当金の95%の範囲内
*機構解約とは、12ヶ月分以上の掛金の滞納や共済金の貸付などに不正があった場合等に中小機構が行う強制解約のこと

借入額

30万円以上(5万円単位)

資金使途

事業資金(運転資金・設備資金)

返済期間

1年

返済方法

期日一括償還(期日に返済がない場合、年14.6%の違約金が発生します)

借入利率

利率は金利情勢に応じて変動(現状は年0.9%)、また利息は一時貸付金の実行時、一括で前払い

担保、保証人

不要

まとめ

取引先等の倒産時に企業のセーフティネットとして役立つ経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)についてその概要を解説してきました。

なお経営セーフティ共済に関する情報は、以下の公式サイトから確認できるので、さらに詳しく知りたい方はアクセスしてご覧下さい。

経営セーフティ共済は中小企業が取引しているとき、いざというときのセーフティネットとして、また合法的な節税方法として大変役立つ制度です。

ぜひ積極的な導入をおすすめします。