株式投資型クラウドファンディングを利用したユニコーン企業

今回は、株式投資型クラウドファンディングを利用したことのあるユニコーン企業をご紹介します。世界では日本以上に、資金調達の1つの選択肢として株式投資型クラウドファンディングが認知されていることが感じられると思います。

※以下では、1ドル=107円、1ポンド=130円で換算しています。

BrewDog(ブリュードッグ)

設立・拠点

2007年4月、イギリス

事業概要

クラフトビールを製造している。

他メーカーに先行してSNSや株式投資型クラウドファンディングを活用し、広告費をかけずに認知度を高めることに成功した。設立8年で売上70億円、設立10年で年平均68.4%(2010年〜2017年の7年間)のROI(投資利益率)を出している。

さらに株式投資型クラウドファンディング(暗号通貨も受け入れている)で集めた資金で、2018年8月にクラフトビールホテル「The DogHouse」を開業した。

株式投資型クラウドファンディングを利用した年月・調達額

2018年10月、約34億円(英「Crowdcube」利用)→直近のクラウドファンディングラウンド。

上記を含め、計5回株式投資型クラウドファンディングで調達している。

ユニコーン入りした年月・バリュエーション

2017年4月、約1,070億円

備考

創業者の2人は英「Dragon’s Den*」で資金調達のプレゼンを行うが、断られてしまう。しかし2人は、世の中の人に本当に良いと言えるクラフトビールに熱狂してほしいという使命感に駆られ株式投資型クラウドファンディングの活用を決断した。そこから当社は株式投資型クラウドファンディングを積極的に活用していく。
※「Dragon’s Den」は「マネーの虎」のイギリス版テレビ番組。

Revolut(レボリュート)

設立・拠点

2015年7月、イギリス

事業概要

モバイルアプリ上で銀行サービスを提供している。アカウントを作成すれば、手数料無料で異なる29通貨を保有、交換、送金することができる。支払いはアプリ、もしくはRevolutが発行するカードを通じて可能。さらに、29通貨を即座に暗号通貨(ビットコイン、ライトコイン、イーサリアム等)に交換できる。ユーザー数は600万人以上、取引数は3.5億件以上。

サービス提供を行う地域はヨーロッパ、オーストラリア(2019年6月時点)。アメリカ、カナダ、シンガポール、日本、ニュージーランドへの進出計画も発表している。

株式投資型クラウドファンディングを利用した年月・調達額

・2016年7月、約1.3億円(英「Crowdcube」利用、他個人投資家等)
・2017年7月、約6.9億円(英「Seedrs」利用、他VC等)

ユニコーン入りした年月・バリュエーション

2018年4月、約1,873億円

備考

・設立から3年足らずでユニコーン入りを達成している。
・同社の事業モデルは「チャレンジャーバンク」(銀行業務ライセンスを取得し、既存銀行と同じサービスをすべてモバイルアプリ上で提供するモデル)と呼ばれ、金融市場改革に力を入れる規制当局の後押しを受け、勢いを増している。特にイギリスやヨーロッパではこの動きが顕著。

Monzo(モンゾー)

設立・拠点

2015年2月、イギリス

事業概要

モバイルアプリ上で銀行サービスを提供している。(先述の「Revolut」と同様にチャレンジャーバンクと呼ばれている。)アカウントを作成するとお金の管理、交換、送金ができる。支払いはアプリ、もしくはMonzoが発行するカードを通じて可能。ユーザー数は約270万人、毎週5.5万人が新規アカウント作成を行っている。

株式投資型クラウドファンディングを利用した年月・調達額

・2016年3月、約1.3億円(英「Crowdcube」利用)
・2017年3月、約3.1億円(英「Crowdcube」利用)
・2017年11月、約1.14億円(英「Crowdcube」利用)
・2018年12月、約26億円(英「Crowdcube」利用)

ユニコーン入りした年月・バリュエーション

2018年10月、約1,160億円

備考

・設立から3年8ヶ月でユニコーン入りを達成している。
・「Revolut」とは多くの違いがあるが、それぞれの特徴を一部以下にまとめた。
▼Revolut:暗号通貨の購入、異なる通貨の同時保有、個人間送金支払いなど機能が多く、できることが多い。また、一部の機能はプレミアム会員専用となっている。
▼Monzo:機能やUIはシンプルで、基本的にモバイルアプリ上に口座を持つことを目的として利用される。ユーザーからのフィードバックを基にアプリの更新を行っている。

最後に

先述した3社の共通点として、

①株式投資型クラウドファンディングを複数回利用している
②BtoCモデルである

の2点が挙げられます。

この点だけ見ると、BtoC事業は株式投資型クラウドファンディングが比較的相性が良いのではないかと推測できます。クラウドファンディング自体、ユーザーの共感や応援によって成り立つので、BtoC事業は自分ごと化しやすい、という側面もあるかもしれません。

日本では、株式投資型クラウドファンディングを利用したユニコーン企業はまだありません。まずユニコーン企業の数自体少ないのが現状です。
海外と日本では法制度が異なり利用方法にも違いがありますが、「Revolut」「Monzo」の2社は複数回利用した内の1回はプレシリーズBとして利用しており、このような利用方法は日本の制度下でも参考になるかと思います。

日本において、海外に遅れをとらないよう法整備が進められること、利用事例がもっと増えることを期待しています。それによって、ユニコーン企業が生まれやすい土壌が出来上がってくると思います。