クラウドファンディングとは?購入型・融資型・株式型…タイプ別に特徴を紹介

最近の新しい資金調達方法としてクラウドファンディングが注目されています。

クラウドファンディングはその歴史は古く、海外ではすでにその原型は17世紀にあったと言われています。アメリカにおいては自由の女神の台座建設資金が不足した際に、一般市民から新聞で寄付を募り約10万ドルを集めるという一大キャンペーンが展開されました。2008年から2009年にかけては、IndiegogoやKickStarterといったインターネットを活用したクラウドファンディングの会社が設立され、資金調達面で今日大きな発展を遂げています。

しかし日本ではまだその歴史は浅く、どちらかというと緒に就いたばかりですが、株式会社矢野経済研究所によると2017年度の国内クラウドファンディングの市場規模は、新規プロジェクト支援ベースで1,700億円、また2018年度は概ね2,000億円を越えたとのことです。
今回はそのクラウドファンディングの種類について、各類型の概要とその取扱い実績、利用時の手数料、どのような方の資金調達に向いているかなど解説します。

この記事を読むことで、法人や団体、及び個人が資金調達する際の選択肢のひとつとして、クラウドファンディングを検討する機会となれば幸いです。

クラウドファンディングとは、インターネット上で不特定多数を対象に、会社等の組織、個人、特定のプロジェクト先が必要な資金を集める仕組みのことを言います。

「クラウド」とは群衆、「ファンディング」とは資金調達のことで、クラウドファンディングはその造語です。

またクラウドファンディングは資金提供者に対するリターン(見返り)の形態によって、金銭的リターンのない「購入型」、金銭的リターンを前提とした「投資型」、プロジェクトが提供する何らかの権利や物品を購入することで支援を行う「寄付型」の3つに大別され、投資型は、「融資(貸付)型」「ファンド型」「株式型」と更に3つに分類することができます。

日本におけるクラウドファンディングの現在の利用状況は、集められた資金総額の約9割が投資型に分類される「融資型」で、次が「購入型」、そして残りを他の3つが占めるという構成です。

クラウドファンディングの種類

クラウドファンディングの種類については前章で書いたように類型として大きく3種類、その中に含まれる投資型は更に3分類あります。

この章では各類型・分類について、その概要、取扱い実績、手数料、どんな方に利用されるのがいいか等、解説していきます。

購入型クラウドファンディング

概要

おそらく、皆さんが「クラウドファンディング」と聞いて最初にイメージするのは、この種類でしょう。購入型クラウドファンディングとは、運営会社を介して、起案者が起こしたプロジェクトにおける商品・サービスを支援者(ファン)が購入する仕組みを言います。

購入後に支援者が得られるリターンとして、プロジェクトから生まれた商品、サービスなどがあり、金利などのリターンはありません。

購入型には「All or Nothing型」「All In型」の2種類あり、「All or Nothing型」では募集金額に目標額が到達したときのみプロジェクトが成立して起案者にお金が渡りますが、目標額に至らないと全額支援者に払い戻されます。

つまり期日までに調達額が募集金額に到達しないと起案者には一切資金が手に入りません。

一方「All In型」では、最終募集金額に達しなくても集まってきた出資金は、仲介者(運営会社)への手数料が引かれて残金が起案者に払われます。

「All or Nothing型」「All In型」の選択は、起案者が自分のプロジェクトの性格を踏まえ、運営会社と相談の上、募集前に決めることが可能です。

実績

(株)矢野経済研究所の調査によると2017年度の購入型での支援額は約100億円とのことです。

手数料

手数料は購入型を取扱いしている事業者間相場で募集額の10%~20%程度です。

どんな方の資金調達に向いている?

購入型で集められた資金は販売目的が決まっている店舗やブランド作り、商品開発用に使われます。

プロダクト開発(特に実際の商品やグッズを物理的リターンとして返せるもの)を企画している中小企業や個人、芸術家等のクリエイターなどに向いた調達方法です。

寄付型クラウドファンディング

概要

寄付型クラウドファンディングとは、ある目的・プロジェクト等に支援者がお金を寄付する仕組みで、基本的に購入型のようなリターンはありません。

ただしプロジェクトによっては、寄付金から便益を受けた方からのお礼の手紙や利用の状況を撮った写真などが送られてきます。

寄付型の利用事例としては、2011年に発生した東日本大震災での被災者への支援金が有名です。

実績

(株)矢野経済研究所の調査によると、2017年度の寄付型での支援額は約7億円とのことです。

手数料

手数料は寄付型を取扱いしている事業者間相場で募集額の10%~15%程度です。

どんな方の資金調達に向いている?

寄付型で集められた資金は、被災地への寄付金支援など、社会貢献度が強い性格のプロジェクトに利用される傾向が強いです。

公共性の高い福祉目的等の活動を支援したい個人、団体などが利用できます。

融資型クラウドファンディング(投資型)

概要

融資型クラウドファンディングは、余裕資金を運用したい個人(投資家)とお金を借りて事業資金に活用したい企業の間でよく使われているクラウドファンディングの仕組みです。

形態としては融資なので日本ではソーシャルレンディングとも呼ばれています。

融資型は、個人としては小口の資金を運用する仕組みとして、また事業資金を借りたい企業は銀行等の審査が厳しい先から借りるのを避けて、比較的審査ハードルが低いこの仕組みを使ってお金を借りるのが目的です。

ただし融資型では、個人が特定の企業に直接出資するのでなく、仲介する運営会社が社内に匿名組合を作り、そこで借入れの種類やリターン、リスク度を公開し出資を募るという形を取ります。

融資型には不動産や再生可能エネルギーなどの分野を特定したものはありますが、個々の出資者には個別の調達先は見えないような仕組みが多く見られます。

融資なので個人(投資家)は金利という金銭的リターンが得られ、一方で調達に成功した企業はこの資金を事業に投入し金利以上の利益を上げる必要があります。

ただし日本のソーシャルレンディングは未だ発展途上にあり、現状、包括して規制する法律はありません。

そのため個人の投資商品としての観点から「金融商品取引法」、また融資的コンセプトから「貸金業法」という2つの法律をミックスして運用されているのが実態で、現状はどちらかというと金融商品取引法のほうがやや影響度が強いです。

ただし融資型は貸付行為が基本なので、今後貸金業法の規制をもっと強くするべきという意見も根強く、今後の動向が注目されています。

実績

(株)矢野経済研究所の調査によると2017年度の融資型での支援額は約1,534億円とのことです。

手数料

取扱い手数料は、融資型を取扱いしている事業者間相場で融資返済額の3%~10%程度となっています。

どんな方の資金調達に向いている?

銀行等の融資審査を受けたくない、また必要な資金も数百万円から大きくても数千万円までよい、やや信用力に乏しい中小企業や個人事業主、銀行融資になじまないタイプの事業を行っている中小企業・個人事業主や新規事業を計画している起業者(創業者)など

株式型クラウドファンディング(投資型)

概要

株式型(投資型)クラウドファンディングとは、企業が資金調達するときの方法のひとつで、非上場の株式を出資者に発行する代わりに資金を募るというクラウドファンディングです。

2015年5月に「株式型」として法的整備(金融商品取引法改正)され、2017年4月からあらたにサービス提供が始まりました。

そのため投資家としては、株式型クラウドファンディング運営会社を通じて出資先企業の詳細情報を確認することができ、納得の上で出資をして非上場株を取得することができます。

実績

日本証券業協会の統計情報*によると2018年度の株式型での支援額は約13億円とのことです。
※「株式型クラウドファンディング」については2018年から実施事例が本格かしたため、日本証券業協会の統計情報を参考にしています

手数料

他のクラウドファンディングの類型に比べ、未だ株式型を取り扱う事業者自体が少数で、手数料相場をまとめることがやや難しいものの、概ね、募集成立時の株式の発行価額総額の10%~20%が取扱い手数料となっています。

どんな方の資金調達に向いている?

スタートアップ等の非上場の会社の経営者で、これから株式投資型クラウドファンディングで会社を運営する資金を募りたい方。

ファンド型クラウドファンディング(投資型)

概要

ファンド型クラウドファンディングは、個々の事業プロジェクトに対して調達者用に設立された匿名組合に支援者が出資するという仕組みのクラウドファンディングです。

また出資者が受けるリターンは、融資型のような金利でなく、投資から得られる配当、さらに商品、サービスを提供される例もあります。

支援者は個別の事業プロジェクトの概要を見て出資判断しますが、支援者は出資後、その事業に関われないのもファンド型の特徴です。

2017年12月、国土交通省の強い押しもあって、不動産に係る法律が改正され、ネットを使って不動産事業者が資金調達しやすくなる「小規模不動産特定共同事業」が作られました。

地方都市で眠っている古民家や酒蔵、利用されなくなった学校校舎などをこのファンド資金を使いリフォームして再活用、新たな町おこし事業に活用されています。

これなども今後、ファンド型の利用促進が期待される代表的事例だと言えます。

実績

(株)矢野経済研究所の調査によると2017年度のファンド型での支援額は約50億円とのことです。

手数料

手数料はファンド型を取扱いしている事業者間相場で募集額の5%程度です。

どんな方の資金調達に向いている?

スタートアップやクリエイターなど新しい事業やリスク度の高い事業を始めるときの資金調達方法として向いています。

まとめ

クラウドファンディングの種類について、その類型の概要、現在までの取扱い実績、手数料、どんな方に資金調達として向いているかなどについて解説してきました。

各クラウドファンディングとも、名目は違っても、一定の率の手数料を徴収するのが基本のビジネスモデルです。

その中でもこれまでの実績から融資型が最も手数料水準が低くなっているのは当然として、今後、ビジネスモデルをさらに発展させ安定したものとするためには更なる手数料の引き下げが求められてくるでしょう。

2017年に国内で解禁された株式型を起爆剤として、各クラウドファンディングのより一層の発展が期待されます。